2019年10月18日

ウィンドサーフィンで初めて大西洋を横断した男 その2


イビサ物語〜ロスモリーノスの夕陽カフェにて 佐野


ウィンドサーファーのセルジオ一行と言うべきか、スポンサーの一人になっている『エル・モノ・デスヌード』のオーナー、マイケルのグループと呼んだ方が当たっているような気がするのだが、彼らは数種類のボードやハーネス、リグをテストするため、頻繁にロスモリーノスのビーチを訪れるようになった。

さすがに、私は彼らと一緒に初心者用のボードに小さいセールで海に乗り出すことはしなかったが、野次馬の一人として、セルジオの長く大きな浮力を持たせたラウンドビルジ(底が半円形に丸くなっている)のボードをテストするのを眺め、薄手のウェットスーツや上半身だけ被うドライスーツを、ホウ、そんなものがあるのかと感心し、呆れて見ていた。

セルジオはゴロタ石の海岸など全く問題にせず、クルブシほどの深さから、スイッとボードを押し出し、そのままマストを立て、風を上手くセールに孕ませ、アレヨという間に沖に出るのだった。セルジオがウィンドサーフィンを操るサマはアクロバットのようだった。
まるでボードにジェットエンジンを積んでいるかのようにボードのテイルフィンだけが海面に触れ、飛ぶように走らせるのだ。タックやジャイブもヒラリ、ヒラリと軽々と新体操の選手が棒の先に付いた長いリボンを操るように舞い、即座にスピードに乗るのだった。私はただただアッケにとられて観ていた。

その時、私自身、後年ヨットで大西洋を渡ることになるとは想像もしていなかったので、セルジオとサポート船としてヨットで伴走するマイケルに、そんなことができるんだと、ひたすら感服した。


ibiza 89-1.jpg
へレス産の最高級ブランデー、Sanchez Romate


『カサ・デ・バンブー』で彼らはサンミゲル・ビール(San Miguel)に始まり、赤ワインはマルケス・デ・ムリェタ(Marqués de Murrieta)に突き出しのチーズ、そしてコーヒーにコニャック、ブランデーはカルロス・プリメーロ(CarlosT)かサンチェス・ロマテ(Sanchez Romate)で、いつも高級ワインとコニャックを開けた。今気づいたことだが、支払いはいつもマイケルがしていた。


セルジオが出発する前の夜には、盛大な壮行会がディスコ『パチャ(Pacha)』でやるからとマイケルに誘われた。私は店を閉めるわけにもいかず、パーティーには行けなかった。翌日の新聞“ディアリオ・デ・イビサ(DIARIO DE IBIZA)”が写真入りで報じたのを観ただけだった。


翌朝、セルジオが出港というのだろうか、イビサを離れる時には、見送りに行った。丁度その時、日本から大学時代の朋友、服部が来ていたので、一緒に出発前の記念撮影に収まったのだった。


ibiza 89-2.jpg
左端、ピンクのTシャツがマイケル、ブームに跨っているのがマイケルのガールフレンド、
ウエットスーツ姿がセルジオ


見送りは至って簡素だった。“ディアリオ・デ・イビサ”の記者、カメラマンは昨夜のバカ騒ぎパーティーで充分だと思ったのだろうか、来ていなかった。それどころか、スポンサーのウィンドサーフィン・メーカーもディスコの『パチャ』の関係者もいなかったと思う。


マイケルのヨットが機送で岸壁をゆっくりと離れ、セルジオもウィンドサーフィンの鮮やかなイロドリ、まるで広告塔のようにスポンサーの名前を貼り付けてあるセールを見せながら港を一周し、ヨットの周りをヒラリヒラリと舞いながら、遠ざかって行った。


冷静に考えれば、大西洋を横断するのにイビサを基点にするのはオカシイことに気づいてもよいはずだった。出発は当然、ジブラルタル、もしくはカナリー諸島のどこかになるべきだ。それにセルジオがいくらウィンドサーフィンのエキスパートだったにしろ、水、食料をサーフボードに積むことは不可能だし、それに睡眠はどう取るのだ? 私には冒険の基本、海の常識すら思い浮かばなかったのだ…。


第一に、ウィンドサーフィンとヨットではスピードが違いすぎることさえ気が付かなかった。なんとなく、同じ風で走るのだからセルジオがウィンドサーフィンを滑らせるすぐ脇をマイケルがヨットを走らせる光景を想像していたのだった。これは、ドーバー海峡を泳いで渡る人に合わせた遅いスピードで小さなパワーボートが伴走するのとは全く逆で、ウィンドサーフィンの方は容易に15ノット、20ノットのスピードでセーリングできるが、マイケルのクルーザーは順風満帆でも7、8ノット、最速でも10ノットを超すことはない。ウィンドサーファーは文字通り、アッと言う間に伴走ヨットの視界から消えることになるのだ。


翌年の春、セマナ・サンタ(復活祭;イースター)の前に、イビサに戻り、シーズン幕開けの準備をしている時、マイケルと出会った。セルジオのことを訊ねると、「アイツのことは話したくない…」と言うだけだった。


どうにも名前を思い出せないのだが、見送りの写真に写っている金髪で水色のTシャツを着ているオランダ女性とピーターのテニスコートのオープンパーティーで会い、その後何度かテニスの相手になってくれた。その時、彼女からセルジオのことを訊いたのだ。


彼らはアリカンテ、マルベーヤ、ジブラルタルに寄航し、カナリア諸島のテネリッフェから大西洋横断に乗り出した。契約とも呼べない約束では、食料、水はマイケルのヨットが供給し、夕暮れとともにセルジオはヨットに乗り移りそこで寝る、ヨットはセールを降ろし、定点に留まり(海流と貿易風にかなりの速さで流されるから、こんなこと、定点に止まることなど不可能なのだが…)、翌朝、日の出とともにセルジオはウィンドサーフィンを続ける……ということになっていたそうだ。


果たしてこんなヤリカタで大西洋を渡ることに何の意味があるのか分からないしろ、そんな風に大洋を渡る約束だった。ところが、セルジオは体調が悪い、胃腸の調子が良くない、筋肉がつる、風邪気味だと、何のかんのと言い出し、ヨットを降りてウィンドサーフィン・ボードに乗り移らなくなってしまったと言うのだった。

ibiza 89-3.jpg

ibiza 89-4.jpg
カナリア諸島の島、テネリッフェ
-…つづく


 バックナンバー


2019-10-18



posted by 速魚 at 05:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年10月16日

中小企業基本法が諸悪の根源

 


  日本では法律の改正が行われると、改正前に存在したものは変えられることなく既得権として、以後もそれは存在します。 それはいつまでも改革されることなく存立していくことになります。 このことが一気に変革できなくて変われない日本ということです。 時限を区切ってでもそれを変えようとすることすらありません。

 アトキンソンさんのいうように、競争力の無い企業が賃金を上げないということのみで存続して、いつまでも購買力が上がらず、30年間の停滞を招いたのでしょう。 この間に日本は1割の賃金低下、先進国は1.8倍の上昇。倍近くの差になったわけです。インバウンド盛況のこの頃ですが、かっての欧州におけるEC加入前のスペインと日本は同じ状態ですね。 すなわち、観光客が安くておいしい食べ物がある地スペインとして英国人・フランス・ドイツ人が訪れるわけです。 安くておいしい和食の地ニッポンです。 今では、 欧米のランチの価格を知るとびっくりします。それでは私たちはとても食べられません。 日本はこのような位置まで来てしまいました。


atokinson 02.jpg
  この法律が日本を「生産性が低すぎる国」にした
    デービッド・アトキンソン 2019/10/03 07:30

  https://toyokeizai.net/articles/-/305116  リンクが切れないように下記に転載させていただきました。


 「町のラーメン屋が多すぎるといって10軒を1軒にまとめたところで中国には勝てません」
 私の主張はまったく違います。今は10軒のラーメン店の裏に10社の企業があるので、10軒のラーメン店をそのままにして、それを所有している企業を2、3社にまとめようということです。

 日本の生産性が低いのは「働き方」の問題ではない

 さて、日本の生産性が一向に上がらず、デフレからも脱却できないという厳しい現実に対して、これは日本人に働き方に問題があるからだと主張する方たちが多くいらっしゃいます。
 日本人はすばらしい能力をもっているのに、働き方が悪いのでその実力が引き出されていない。だから働き方を変えれば景気もよくなっていく、というのが彼らの主張です。
 しかし、経済分析の世界では、これは「願望」というか、まったくの見当外れな分析だと言わざるをえません。これだけ大きな国の経済が「働き方」程度の問題によって、20年も停滞することなどありえないからです。
 では、何が日本の生産性を低くさせているのでしょうか。これまで30年にわたって、日本経済を分析してきた私がたどり着いた結論は、「非効率な産業構造」です。高度経済成長期から引きずっている時代錯誤な産業政策、非効率なシステム、科学的ではない考え方などが日本の生産性を著しく低下させているのです。
 ただ、日本国内ではこのような意見を掲げる人はほとんどいらっしゃいません。政治家、エコノミスト、財界のリーダーたちの大多数は経済低迷の要因を、「産業構造」に結びつけず、ひたすら「労働者」へと押し付けています。
 このあまりに”残念な勘違い”を象徴しているのが、「働き方改革」です。
 残業を減らし、有給休暇を増やす。女性にも高齢者にも、働きやすい環境を作る。そうすれば、労働者のモチベーションが上がって、これまで以上によく働く。その結果、会社の業績も上がるので景気がよくなる。
 驚くほど楽観的というか、ご都合主義な考え方です。繰り返しますが、この程度の施策で巨大国家の経済が上向くのなら、日本はとうの昔にデフレから脱却しています。20年も経済成長が滞っているという事実こそが、労働者個人の頑張りでどうにかなる問題ではないことを雄弁に物語っているのです。


 日本に欠けているのは「徹底した要因分析」だ


 そこで次に疑問として浮かぶのは、なぜこうなってしまうのかということでしょう。なぜ表面的な経済議論しか行われないのか。なぜ国の舵取りをするリーダーや専門家から、泥縄的な解決策しか出てこないのか。
 1つには、日本では「徹底的な要因分析」をしないという事情があります。この30年、多くの日本人と議論を交わして気づいたのは、経済の専門家を名乗る人たちでさえ、起きている現象についての知識はすごいものの、その原因を徹底的に追求することはほとんどありません。原因の説明は表面的な事実をなぞるだけで、「なんとなくこういう結論になるだろう」と直感的な分析をしているのです。
 どういうことかわかっていただくため、多くの識者が唱える「女性活躍で生産性向上」という主張を例に出しましょう。
 生産性の高い先進国では女性活躍が進んでいるという事実があります。一方、生産性の低い日本では、女性活躍が諸外国と比較して際立って進んでいないという、これまた動かしがたい事実があります。この2つの事実をもって、専門家たちは、日本も諸外国並に女性に活躍してもらえば、諸外国並に生産性が向上するに違いない、と主張しているのです。
 確かにそういう理屈も成り立つかもしれませんが、実はここには大きな落とし穴があります。「日本の女性活躍が諸外国と比較して際立って進んでいない」ということの要因を分析できておらず、「日本は伝統的に女性が蔑視されている」「働きたくても保育所が不足している」という、なんとも大雑把な話しか語られていないのです。
 このあたりの要因分析を徹底的に行えば、「保育所さえあれば女性が活躍できる」という極論がいかに表面的な分析に基づく主張かということは明白です。
 海外の要因分析では、女性が活躍できていない国は、労働人口の中で、規模が小さくて経済合理性の低い企業で働く労働者の比率が高いという傾向があることがわかっています。
 これは冷静に考えれば当たり前の話です。小さな企業は産休や育休、時短などの環境整備が難しいので、どうしても女性が働き続けることのハードルが高くなるのです。これが一次的な問題です。女性を蔑視する価値観や保育所の数などは、あくまで二次的な問題にすぎません。
 当然ながら、まずは女性が活躍できる産業構造に変革した後で、具体的な環境作りに取り組むべきです。しかし、一次的な問題を解決せずに、二次的な問題を解決するだけでは、根本的な解決にはなりません。つまり、女性活躍というのは、女性蔑視うんぬんや保育所の数という二次的な問題より、その国の産業構造によって決まるというのが世界の常識なのです。
 このような要因分析をロクにしないまま「女性活躍」を叫んで、働くように女性の背中を押しても、生産性向上につながるわけがありません。
 これは同じく生産性向上が期待されている「有給休暇」についてもまったく同様です。
 生産性が高い国では、有給休暇取得率が高い傾向があります。そして、日本は有給休暇取得率が低いということで、これを高めていけば、生産性も上がっていくだろうというわけです。しかしこれを本気で進めるのならば、そもそもなぜ日本の有給休暇取得率が低いのか徹底的に要因分析をしなくてはいけません。
 日本では、「日本人の真面目な国民性が関係している」「日本は集団主義で職場に休みにくい雰囲気がある」と、これまた直感的な理由しか出てこないでしょうが、海外では「有給取得率は企業規模と関係する」という要因分析がなされています。大企業になればなるほど有給取得率が上がり、小さな会社になればなるほど下がることがわかっているのです。この傾向は万国共通で、日本も例外なく当てはまります。
 つまり、アメリカの有給取得率が高いのはアメリカ人の国民性ではなく、単にアメリカの労働者の約50%が大企業で働いているから。日本の有給取得率が低いのも日本人の国民性ではなく、単に日本の労働者の中で大企業に勤めている人が約13%しかいないからなのです。
 長く分析の世界にいた私からすれば、国民性うんぬん、労働文化うんぬんというのは、科学的な分析から目を背けて、自分たちの都合のいい結論へと誘導していく、卑劣な論法だと言わざるをえません。


 日本の低迷の主因は伸びない中小企業


 さて、このように日本の専門家があまりしてこなかった「要因分析」というものを、日本経済を低迷させている諸問題に対して行っていくと、驚くべきことがわかります。
 実は日本経済の低迷も、女性活躍や有給取得率でもそうだったように、最後は必ず「小さな企業が多すぎる」という問題に突き当たるのです。低賃金、少子化、財政破綻、年金不足、最先端技術の普及の低さ、輸出小国、格差問題、貧困問題……さまざまな問題の諸悪の根源を容赦なくたどっていくと、「非効率な産業構造」という結論にいたるのです。
 それはつまり、日本が他の先進国と比べて、経済効率の低い小さな企業で働く人の比率が圧倒的に多く、そのような小さな企業が国からも優遇されるということです。実は日本は、生産性の低い「中小企業天国」と呼べるような産業構造になっているのです。
 このような話をすると、「小さな企業が多いのは日本の伝統で、普遍的な文化だ」とこれまた漠然とした主張をする人たちが多くいらっしゃいますが、実はこれも表面的な分析に基づく”残念な勘違い”なのです。
 歴史を振り返れば、小さい企業が多いのは日本の普遍的な文化だと言えるような客観的事実はどこにも見当たりません。むしろ、ある時期を境にして、現在のような「他の先進国と比べて小さな企業で働く人の割合が多すぎる」という産業構造が出来上がっていったことがよくわかります。
 では、その時期はいつかというと、「1964年」です。
 この年、日本はOECD(経済協力開発機構)に加入しましたが、その条件として突きつけられたのが、かねてより要求されていた「資本の自由化」でした。当時の日本では、資本が自由化されれば外資に乗っ取られるかもしれないという脅威論が唱えられ、護送船団方式など「小さな企業」を守るシステムが続々と整備されました。つまり、1964年というのは、日本を「低生産性・低所得の国」にした「非効率な産業構造」が産声を上げたタイミングなのです。


 日本を「生産性の低い国」にした中小企業基本法


 そして、この「1964年体制」を法律面から支えたのが、前年に制定された中小企業基本法です。
 同法は当時、「中小企業救済法」とも言われたほど、小さい企業に手厚い優遇策を示したものです。同時にその対象となる企業を絞り込むため、製造業は300人未満、小売業は50人未満とはじめて「中小企業」を定義しました。
 しかし、これが逆効果となってしまいます。優遇措置を目当てに、50人未満の企業が爆発的に増えてしまったのです。
 中には、企業規模を拡大できるにもかかわらず、優遇措置を受け続けたいということで、50人未満のラインを意図的に超えない中小企業まで現れてしまったのです。非効率な企業が爆発的に増え、なおかつ成長しないインセンティブまで与えてしまいました。
 中小企業を応援して日本経済を元気にしようという精神からつくられた法律が、優遇に甘えられる「中小企業の壁」を築き、「他の先進国と比べて小さな企業で働く労働者の比率が多い」という非効率な産業構造を生み出してしまったという、なんとも皮肉な話なのです。
 それでも1980年代までは人口が増加し続けたため、経済も成長を続けました。しかし1990年代に入り、人口増加が止まると、この生産性の低い非効率な産業構造の問題が一気に表面化してきました。
 ちなみに、日本の生産性を議論する際に必ず出てくるのが、日本では製造業の生産性が高く、サービス業の生産性が低いという事実です。この現状を説明するためによく言われるのが「日本人はものづくりに向いている」「サービス産業の生産性が低いのは『おもてなし』の精神があるからだ」という”神話”のような話ですが、実はこれも非効率な産業構造ですべて説明ができます。これもまた、単に中小企業基本法の影響なのです。
 この法律で、中小企業が製造業では300人未満、その他は50人未満と定義されて以降、日本ではこれに沿うような形で企業数が増えていきました。その影響もあって、製造業はどうしても他の業種よりも規模が大きくなりました。
 規模が大きければ生産性が高くなるというのは、先ほども申し上げた経済学の鉄則のとおりです。一方、日本のサービス業は圧倒的に規模の小さな事業者が多く乱立しているという事実があるので、当然、生産性は顕著に低くなるというわけです。
「守りに特化」した経営は暴走していく
 「1964年」と聞くと、ほとんどの日本人は東京オリンピックを連想すると思います。そしてここをきっかけに、日本人が自信を取り戻し、焼け野原から世界第2位の経済大国へと成長していく、というのが小学校の授業などでも習う「常識」です。
 しかし、現実はそうではありません。
 オリンピックの前年からすでに景気は減退していました。急速なインフラ投資の反動で、オリンピック後の倒産企業数は3倍にも急増しています。1964年からの「証券不況」も事態をさらに悪化させて、被害拡大防止のために日銀は公定歩合を1%以上下げました。しかしこれも焼け石に水で、1965年5月には山一證券への日銀特融を決定し、同年7月には、戦後初となる赤字国債の発行も行いました。
 この不況が、「資本の自由化」が引き起こす「外資脅威論」にさらに拍車をかけます。「乗っ取り」や「植民地化」という言葉にヒステリックに反応するうち、やがて財閥系や大手銀行系が手を取り合い、買収防止策として企業同士の持ち合いも含めた安定株式比率を高めていきます。1973年度末の法人持株比率はなんと66.9%にも達しました。
 この「守り」に特化した閉鎖的な経済活動が、護送船団方式や、仲間内で根回しして経営に文句を言わせない「しゃんしゃん株主総会」などを定着させて、日本企業のガバナンスを著しく低下させていったことに、異論を挟む方はいらっしゃらないのではないでしょうか。
 このようにとにかく「会社を守る」ことが何をおいても優先されるようになると、経営者に必要なのは調整能力だけになっていきます。数字やサイエンスに基づく合理的な判断をしないので、他人の意見に耳を貸さず、とにかく「直感」で会社を経営するようになっていくのです。その暴走がバブルにつながります。
 そんな「暴走経営」がこの20年、日本経済に与えたダメージは計り知れません。
 ものづくりメーカーは、社会のニーズや消費者の声よりも、企業側の「技術」や「品質」という直感が正しいと考える「product out」にとらわれ衰退しました。そしてバブル崩壊後も、データに基づいた客観的な分析をせず、直感に基づく表面的な分析をして抜本的な改革ができなかった結果が、この「失われた20年」なのです。
 このように日本経済の衰退を要因分析していくと、「1964年体制」に原因があることは明白です。つまり、「1964年は東京オリンピックで日本の飛躍が始まった年」というのは残念ながら間違いで、実は経済の衰退をスタートさせてしまった「国運の分岐点」なのです。
 「1964年体制」がつくった産業構造を元に戻すことは容易なことではありません。その動かぬ証が、1990年代から実行されたさまざまな日本の改革がことごとく失敗してきたという事実です。その結果、国の借金は1200兆円にまで膨らみました。
 人口減少などさまざまな「危機」が迫る日本には、もはや悠長なことを言っている時間はありません。日本経済を立て直すためにも、古い常識や”神話”を捨てて、数字と事実に基づく要因分析を、すべての国民が受け入れる時期にさしかかっているのです。


    2019-10-16




posted by 速魚 at 04:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年10月14日

「最低賃金引き上げ=中小企業倒産」の図式が神話に過ぎない理由


            

 ここで2013年に最賃を1000円に上げるように書いていて、2015年には1500円に改定しました。2019年の昨日あたりに報道では1000円をつける地域が実現したようです。

 韓国ともめていますが、最低賃金の議論をするときに、今度は文大統領が実施した韓国での最賃値上げの効用を日本の議論のなかに持ち込まれることになりそうです。法治国家でもない隣国のことはどうでもよいのですが、最賃に反対する人々は必ずまな板の上にあげるでしょうから、考えておかねばなりません。 イギリスでこれを研究検討されたレポ−トのオリジナルといっても翻訳されたものでしか取り込めない小生ですが、見つかればここに取り上げたいと思います。




  増税後の買い物、お得になる払い方

  最低賃金引き上げの議論で必ず出る「中小企業の倒産誘発論」だが、実はどこにもエビデンスはない 
最低賃金引き上げを巡る論争が本格化し、様々な意見が飛び交っている。相変わらず「中小企業の経営が厳しくなる」と難色を示す人も多いが、実はイギリスでは最低賃金を引き上げても廃業率は上がらず、むしろ労働生産性が上がったとする調査結果が明らかになっている。(ノンフィクションライター 窪田順生)


 最低賃金労働者は「無能」なのか?


 いよいよ「最低賃金引き上げ」を巡る論争が本格化してきた。
 さまざまな専門家の方がそれぞれの立場で意見をぶつけ合うということは、社会にとっても良いことなので、ぜひ侃々諤々でやっていただきたいところだが、頭の上をビュンビュンと飛び交う意見の中には、思わず二度見してしまうようなダイナミックなものも散見される。
 例えば、“最低賃金引き上げ慎重派”の、とある著名な評論家の方。ざっくりまとめると、こんなことをおっしゃっていたのだ。
 最低賃金で働いている人というのは、スキルが低いので一度職を失うと再就職ができない。最低賃金を上げることは結果として、こういう人を苦しめることになる。だから、最低賃金を引き上げて中小企業を倒産させるような愚かなことはするな、生産性向上のためには、低スキル労働者の教育に力を入れるべきだ――。
「ん?」と引っかかった人も多いのではないか。そう、確か日本は「深刻な人手不足」だったはずなのだ。コンビニはバイト確保ができず24時間営業もままならない。物流も深刻なドライバー不足で現場が疲弊している。建築や介護の現場にいたっては、外国人労働者に頼らないと回らない――という話になっていなかったか。
 一方、平成27年の内閣府の資料には「最低賃金程度の時給で働く労働者は300万〜500万人程度」とあり、もっと多いという指摘もある。
 つまり、この専門家の方は、日本人労働者の数%を「人手不足でもう限界だ!」と悲鳴を上げる事業者でさえも採用を見送るほど、「使えない人材」だとおっしゃっているのだ。
 そんな考えをベースにして、最低賃金の引き上げは慎重にすべきと主張するというのは、中小企業はどこにも行くあてのない無能の人を雇ってあげている篤志家なんだから、「時給1000円」なんて無理難題を押し付けず、自分たちのペースでのんびりやらせてやれよ、と言わんばかりなのだ。
 もちろん、立派な専門家センセイなので当然、我々素人には計り知れない深いお考えがあるのかもしれないが、素直に受け取れば「労働者ディスり」にしか聞こえない。なかなかシビれる発言ではある。


 最低賃金引き上げは中小企業倒産につながらない


 その一方で、ダイナミックというよりも、日本人にはなかなか受け入れがたいショッキングな提言をしている御仁もいる。
 元ゴールドマン・サックスのアナリストで、山本七平賞受賞の「新・観光立国論」(東洋経済新報社)などで政府の観光推進政策にも多大な影響を与えてきたデービッド・アトキンソン氏である。
 来日から30年にわたって日本経済を分析し、かつて日本の大手銀行が17もあって群雄割拠していたバブル期に、「日本の主要銀行は2〜4行しか必要ない」というレポートを出したこともある「慧眼」で知られているアトキンソン氏は、今の日本の低成長・低生産性を解決するには、最低賃金を年5%程度引き上げていくべきだとかねてから主張していたのだが、このたび発売された新著「国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか」(講談社+α新書)でさらに驚くべき分析をしているのだ。
 日本の現在の低成長は、国が“成長できない小さな企業”を手厚く保護する政策をスタートさせた「1964年体制」にあるとして、この古い体制を改革しないで放置していると、人口減少と自然災害というリスクの中で、日本経済が弱体化して、中国資本の支配力が強まっていくというのだ。
 このあたりについて興味のある方はぜひ本をお読みいただくとして、実は同書の中には、現在の「最低賃金引き上げ」を巡る議論に一石投じるような記述があるのでご紹介したい。
 それは、冒頭の専門家の方の主張にも通じるが、「最低賃金を引き上げたら倒産が増加して不況になる」という言説に対してものだ。以下に少し長いが、引用しよう。
「この20年間、最低賃金を引き上げ続けてきたイギリスでは、政府が大学に依頼して、賃金引き上げの影響を詳しく分析をしています。具体的には、最低賃金もしくはそれに近い賃金で雇用している割合の高い企業を対象にして、最低賃金を引き上げる前と、後の決算書を継続的に分析しているのです。そこで判明しているのは、もっとも影響を受けた企業群でも廃業率が上昇することはなく、単価を引き上げることもあまりなく、雇用を減らすこともなかったということです。そしてここがきわめて大事なポイントですが、経営の工夫と社員のモチベーション向上によって、労働生産性が上がったことが確認されているのです」(P.193)
 要するに、「最低賃金を引き上げたら倒産が増加して不況になる」というこの手の議論で必ず出てくる言説は、科学的根拠のないデマだというのだ。


 最低賃金引き上げに猛反発する日本の産業界


 と聞くと、「イギリスは日本より格差が開いて、物価高で貧しい人が増えているぞ!そんな英政府の調査など信用できるか!」と噛み付く人もいるが、アトキンソン氏は別にイギリスが素晴らしいから日本も真似しろなどと言っているわけではなく、最低賃金引き上げの影響について国家レベルで調査が行われ、そこでは倒産につながらず、労働生産性が向上するという結果が出ている、と示しているだけにすぎない。「イギリスの貧しい人は日本より貧乏だぞ」みたいな感覚ベースの議論ではなく、科学的な議論をすべきだと言っているのだ。
 また、イギリスにおける格差や貧困が問題だというが、実は貧困率は日本の方がアメリカと並んで先進国で最悪レベルで、イギリスよりもダントツに高い。格差や貧困がある国のエビデンスなんて信用できるか、という話になるのなら、先進国の中で唯一成長しておらず、ダントツに生産性が低く、ダントツに貧困率の高い日本で生まれた経済理論などすべて価値のないゴミになってしまう。国の経済と、そこで得られたエビデンスは切り分けて考えるべきなのだ。
 もちろん、この話も人によって受け取り方はさまざまだが、個人的には腹落ちしている。「最低賃金を引き上げたら倒産が増えて不況になる」という話には以前から胡散臭さがプンプン漂っているからだ。
 例えば、今から12年前の2007年12月、改正最低賃金法が成立した。最低賃金が生活保護の受給額を下回るということが問題となって、さすがに生活保護よりは高くなるように徐々に引き上げていきましょうや、という話になったわけだが、中小企業は「それは我々に死ねということか!」と大ブーイング。当時の日経産業新聞(07年12月3日)には以下のような悲痛な声が紹介された。
「給与水準を人為的に底上げすることになり、雇用維持が難しくなる」
「採用した人材は一人前の戦力になるまでどうしても時間がかかる。最低賃金の引き上げは企業の雇用意欲を低下させる」


 日本でも最低賃金引き上げは倒産に結びつかなかった


 要するに、働く人たちの賃金が生活保護を下回ることよりも、「中小企業が雇用できる」ことの方が大事というのだ。なんとも釈然としないものを感じていた8ヵ月後、今度は中央最低賃金審議会が、時給687円の全国平均額を15円程度引き上げることを決定すると、さらにヒステリックな声が上がった。
 日本経済新聞(08年8月6日)の「中小・零細、雇用に重し」という記事には、中小企業経営者たちの声が紹介されている。
「中小企業の倒産を誘発し、雇用に悪影響が出る可能性が高い」
「賃上げが心理的な経営圧迫につながる」
 だが、事実はまったく逆だった。中小企業の倒産件数は08年の1万5646件から減少が続き、17年は8405件というレベルにまでなった。いや、倒産は減ったが、休廃業が増えているという人もいるが、別に顕著に増えているわけではなく、多くは後継者不足や販売不振が原因である。
 日本においても、「最低賃金を引き上げたら倒産が増加して不況になる」ことを証明する客観的事実はどこにもない。つまり、「神話」や「思い込み」の類である可能性が高いのだ。
 いずれにせよ、このアトキンソン氏が投じた問題提起に対して、「そんな話は日本に当てはまらん!」なんて島国根性丸出しで耳をふさいでいるだけでは、日本はデフレ・低成長からはいつまでも脱却できない気がする。この30年ひたすら続けてきた「日本のやり方」を続けているだけだからだ。
 最低賃金を引き上げたら倒産が続出する。最低賃金で働く人はスキルがないので、一度職を失うと失業したままだ。このような主張をされる専門家の皆さんは是非とも、感覚的な話で我々素人の恐怖心を煽るのではなく、科学的根拠を示して、建設的な議論をお願いしたい。
    窪田順生さんより転載   2019/09/26 06:00



   2019-10-14




  賃上げた韓国崩壊していない

   最低賃金引き上げ「よくある誤解」をぶった斬る アトキンソン氏「徹底的にエビデンスを見よ」
         

 https://www.msn.com/ja-jp/money/news/最低賃金引き上げ%ef%bd%a2よくある誤解%ef%bd%a3をぶった斬る-アトキンソン氏%ef%bd%a2徹底的にエビデンスを見よ%ef%bd%a3/ar-AAIu6OD?ocid=spartanntp





posted by 速魚 at 21:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年10月12日

ウィンドサーフィンで初めて大西洋を横断した男 その1


イビサ物語〜ロスモリーノスの夕陽カフェにて 第88回     佐野
 
イビサで暮らし始めて2、3年経ってからだと思うが、私は中古のウィンドサーフィンを買った。なんせ、目の前に海が広がっているのだ、1時間の暇でもあれば、自分のアパートからボードとセールを担ぎ降ろし、ウィンドサーフィンを楽しめるではないか。 ほとんど理想的な場所に住んでいるのだから、やらない方がどうかしている…と思ったのだ。加えて、トップレスでビキニの下だけ付けた細身の女性たちが身体を反らせ、まるで海の上を滑るように、飛ぶようにセーリングしていたから、ヨシ、俺も! と、気合が入ったのだった。

ibiza 128.jpg
夏には観光客で満杯になる人気の海岸、Playa d'en Bossa

ウィンドサーフィンのボードとセール一式は、『カサ・デ・バンブー』の常連でプラーヤ・デンボッサ(Playa d'en Bossa)の海岸でウィンドサーフィン・スクールをやってるホアンに頼み、初心者用のモノを安く譲ってもらった。
さて勇躍、海に乗り出したまでは良かったのだが…。 
ウィンドサーフィンを始めるには、初めの数時間、人に笑われる覚悟がいる上、思いっきり笑われても良いと尻をまくらなければならないと思い知ったのだ。ボードの上に立つまで何十回と落ち、やっと立ち上がっても、セールを引き上げる時、不安定なボードにヘッピリ腰で立ち、この海にべったり漬かった意外に重いセールを海面から引き離すのは、まるで海底に沈んだ大きな漬物石を引き上げるような作業だと知った。
そしてやっとセールを海面から持ち上げると、セールの下に風が入り、フワリとマストとセールが浮き上がり、スイッとマストが垂直に立つ道理だが、こちらは満身の力を込めて足を踏ん張り、前かがみの姿勢で腰と腕でマスト、セールを持ち上げるのだから、一旦垂直に立ったマスト、セールは反対側、つまりボードの上にいる本人に反動で覆いかぶさるように倒れてくるのだ。結果、派手に落水する。やっと海面に浮かび上がったはいいが、頭の上に濡れたセールが被さっており、満足に息ができないままあがき、セールを払い避けるようにもう一度潜り、セールに覆われていない海面に顔を出すのだ。
私が喜劇を演じている間、いつの間にか、崖の上にギャラリーが集まり、盛んに声援、ひやかしの罵声を送っているのだった。 
落水を際限なく繰り返すうちに、当然のことだが、私は風に流され、2キロほどフォルメンテーラ島の方向の沖に出てしまった。もうそろそろ、セールをマストに縛り付け、ボードに乗せ、腹這いになってボードに乗り、両手で水をかき、陸へ向かおうとした時、一直線にこちらに向かってくるウィンドサーファーに気がついた。フアン・カルロス先生だった(第48回:ドイツ人医師、フアン・カルロス先生)。
彼がウィンドサーフィンのエキスパートだとは全く知らなかった。フアン・カルロス先生、見るに見かねて、自分のボードを出して私を救助しにきてくれたのだった。「もし、フォルメンテーラに行くつもりなら別だけど、私のボードに乗りなよ…」と言ってくれたのだ。私は彼のボードに腹這いになって乗り、私のボードを細いロープで曳き、『カサ・デ・バンブー』の真下の石コロビーチまで不名誉な曳航を甘んじて受けたのだった。当然、野次馬の嘲笑を散々浴びたことだ。

ibiza 125.jpg
ロス・モリーノス海岸。ウィンドサーフィンを優雅に楽しむ…

そよ風程度、しかも静かな海面でどうにかセールに風をはらませヘッピリ腰でセーリングできるようになるまで3日はかかったと思う。しかしそれも、風に運ばれているだけで、方向転換、ジャイブかタックになるのだが、それができるようになるにはさらに2、3週間はかかった。とても、海面を軽やかに舞う乙女たちのレベルにはほど遠く、「ハ〜イ!」などと声をかけ、彼女らを追い抜くとかすれ違うのを密かに夢想していたのだが、夢また夢に終わった。それどころか、水中であがいている私に、彼女ら、彼らから「大丈夫か? 助けてあげようか?」と声をかけられる始末だった。
ウィンドサーフィンも実力に天地ほどの差があり、どうにか落ちないで乗れるようになるのが第一歩で、これはママチャリを漕いで、近くのスーパーに買い物に行けるレベルでは、あのアクロバット的なマウンテンバイクの真似事はできないし、ツール・ド・フランスに出場できない道理だ。ウィンドサーフィンもこれでなかなか奥が深いことを知ったのだった。
フアン・カルロス先生と奥さん、『サン・テルモ』のオーナーのイヴォンヌ、イビセンコの朋友ペペら、周りにウィンドサーフィン狂がかなりいたから、彼らに教えを請い、ご教授願った。一番耳が痛かったのは、「お前ね〜、当面ライフジャケットを着るか、ウェットスーツ(浮力があり、体温の流失を防ぐ)を着た方がいいぞ…」というものだった。流されても、いつもフアン・カルロス先生か他の誰かが助けに来てくれるとは限らないから…と言うのだ。
それでも、シーズンの終わり頃、10月にはヨタヨタ、フラフラしながら風を切る感覚を掴み、セーリングを楽しめるようになったのだった。秋が近づくに従って、強い風が吹き始め、新たな挑戦、戦いになった。私のアパート下の石ころビーチはイビサの町から近いこともあって、夏場は車を持たない人たち、主に地元の人が海水浴、日光浴に訪れる。秋口になると、数は少ないが、ウィンドサーファーがここに集うようになる。
イビサには格好のビーチがたくさんあるが、いずれも駐車場から波うち際まで距離がある。そこへ行くと『カサ・デ・バンブー』の眼下にあるロス・モリーノスの海岸は、車からボードとリグ(マスト、ブーム、セールなど)を降ろし、その場でセットし、海に乗り出せる地の利があった。ただ、コブシ大の石ころビーチなので、フィンやセンターボードを痛めずにスイッとばかりセーリングに移ることができる中級、上級者向けの海岸だった。サーファーたちは濡れた身体のまま『カサ・デ・バンブー』に立ち寄り、一杯引っ掛けるのだった。

イビサの港前の一等地に『エル・モノ・デスヌード』(El Mono Desnudo;裸のサル)というファッショナブルなカフェバーを開いているマイケルはガールフレンドや友達を連れ、ここからウィンドサーフィンで海に乗り出していた。そしてチョイチョイ、『カサ・デ・バンブー』に立ち寄ってくれた。
マイケルが海好きで、豪華な40フィートのスループクルーザー(キャビン付きヨット)を持っていることは知っていた。リークロス(ヨットの両舷に張るキャンバス)に目立ちすぎるくらいの大きさで“El Mono Desnudo”と船名を書いていたから、ともかくもマリーナで目立つヨットだった。何も店の名をあんなふうに宣伝しなくても、彼のバーは夜、空いた席を見つけるのが難しいくらいいつも混んでいるのだから…と思ったのだ。
観光シーズンの終わり頃だったと思う。マイケル御一行が賑やかに『カサ・デ・バンブー』に押しかけてきた。その中にセルジオがいた。
セルジオは痩せ型の筋張った体つき、肩まで届くチヂレタ髪、太陽に当たり過ぎで干からびたような深い皺だらけの顔をしたオーストリア人だった。
-…つづく

 
バックナンバー

  2019-10-12



posted by 速魚 at 09:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年10月10日

法人税逃れ大国

 

  消費増税で内部留保463兆円のカラクリ

トヨタが1−2兆円の利益をあげているのに、何年間も税金を納めていないときがあります。 大企業に有利な控除制度があるからと云われ、ここ20年間の日本人の賃上げができていないのは、内部にため込んで賃金にまわすことがないトヨタが元凶だといわれています。トヨタの外地従業員は日本と違い賃金は上がっているのだという。 消費税が10%に上がりましたが、苦しむのは庶民ばかりなり。 大企業の社会的責任をもっと求めてもよいでしょう。ソフトバンクも同様です。



  https://www.msn.com/ja-jp/news/money/法人税逃れ大国ニッポン-消費増税で内部留保463兆円のカラクリ/ar-AAHQHI0?ocid=spartanntp#page=2     リンクが切れることもありますので下記に転載いたしました。



houzinnzei 01.jpg
   Asahi Shimbun Publications Inc.より  東証1部上場で、直近3カ年の連結の財務データがある企業が対象



 10月1日から消費税が上がり、庶民は物価高に苦しむ。一方で、企業の「内部留保」は463兆円と過去最高を更新。法人税が引き下げられ、お得な減税策などもあり、企業はもうかりやすくなっているのだ。庶民には厳しく企業には優しい“法人税逃れ大国ニッポン”の実情に迫った。
*  *  *
「企業の責任が果たせているのか、制度的に疑問なところがある」
 こう言うのは東京商工リサーチ情報本部の原田三寛・情報部長だ。企業は多くの人材や公共設備などを利用して金もうけしている。利益に応じて納税し社会を支える責任がある。ところが、もうかっているのに納税額が少ない大企業が目立つようになっているのだ。
 表を見てほしい。東京商工リサーチのデータをもとに、利益が大きいのに納税額が少ない主な企業をまとめたものだ。
 東証1部上場企業を対象に、直近3カ年の有価証券報告書を分析。課税前の当期純利益(税金等調整前当期純利益)に対し、法人税等が占める割合を、「税負担率」として算出した。利益が大きく負担率が低い主な企業が並んでいる。低いからといって違法な脱税をしているわけではないが、税金をうまく逃れている状況がわかる。


 企業は所得に応じて法人税や地方法人税などを支払わないといけない。実質的な税負担率(法人実効税率)は大企業の場合、29.74%(2018年度)となっている。つまり、基本的にもうけの3割を税金として国に納めるルールだ。
 それなのに表にある企業では、税負担率が2割を下回り、中には数%やマイナスのところもある。
 なぜか? 企業には庶民にはない有利な制度があり、納税額を減らせるためだ。どんなメリットがあるのか、見ていこう。
 表のトップのソフトバンクグループは、税金等調整前当期純利益(直近3カ年分)が約2兆7千億円もあるのに、法人税等はマイナス8236億円。税金を納めているのに巨額の利益が出るのは、「欠損金の繰越控除」といった制度などを利用したためとみられる。
 これは赤字(欠損金)が発生すると、その後10年間にわたり所得から差し引くことができるものだ。同社は16年に約3.3兆円でイギリスの大手半導体会社を買収。その会社の株式の一部をグループ企業に移す際に、取得価格と時価評価額の差にあたる約1兆4千億円の損失を計上した。その分、利益が減るので“節税”できることになる。


 この手法自体は合法だが、国税庁は損失額の計算が不適切だったと判断。一部について損失を認めず約4千億円の申告漏れを指摘した。同社側は、損金算入の時期について国税当局と見解の相違があり修正申告したとしている。庶民からすれば、「見解の相違」で数千億円もの申告漏れが発生するのは驚きだ。
 同社の孫正義会長兼社長は6月の株主総会で、「ルールのなかでいろいろな節税を合法的にやっている。合法的な範囲のなかで、ある程度節税を図っていく」と発言している。


 欠損金の繰越控除のメリットを受けている企業は多い。表にある東京電力ホールディングスは原発事故を起こし多額の損失を抱えているので、納税額は少しだけ。日本航空も経営破綻したことがあり、繰越控除を受けているとみられる。
 ものづくりの大企業に有利な制度もある。
「研究開発減税」は、研究開発費の一部を法人税から控除できる。財務省によると、この制度によって減った大企業の税額は、17年度だけで約6千億円にも上る。自動車メーカーや製薬会社など、製品開発に巨額の投資をする企業は恩恵が大きい。例えば表にある本田技研工業(ホンダ)は18年度に約8千億円、武田薬品工業は約3700億円の研究開発費を使っている。


 企業ごとの減税額は公表されていないが、年間数百億円もの恩恵を受けているところがありそうだ。
 こうした、過去の赤字や研究開発費を理由に納税額を減らす仕組みなど、企業を実質的に優遇している制度はたくさんある。紹介しているのは一部だけだ。法人である企業は個人と税制が異なるとしても、庶民感覚からすれば納得しにくい。会社員は収入がガラス張りで、所得税などは給料から強制的に徴収される。消費増税や社会保障費の負担増で生活はさらに苦しくなるが、節税の手段は限られている。
 そもそも、企業のうち法人税を納めているのは少数派だ。国税庁の17年度の統計によると、普通法人271万社のうち赤字は181万社で、割合は66.6%。中小企業を中心に、6割以上が法人税を払っていないことになる。もうけが少ないのに経営者の報酬を不当に高くするなど、税金逃れの手法はいろいろある。冒頭で登場した原田さんはこう訴える。


「税金を控除する制度について、もう一度考える必要があるのではないでしょうか。企業の責任には税収を守るということもあるはずですが、そこが弱まっている。合理的な経済活動の結果なのかもしれませんが、制度の妥当性を改めて考えたほうがいいと思います」
 税制が全体的に企業やお金持ちに優しく、庶民に厳しくなっている。税収は消費税が右肩上がりなのに、法人税や所得税が下がっている。
 消費税は1989年に3%で始まり、97年に5%、14年に8%になった。これに対し、大企業の法人税率は消費税導入前は42%だったが現在は29.74%。所得税の最高税率も60%から45%に下がっている。


 法人税については日本経済団体連合会(経団連)など財界が、世界的に見て高すぎると主張してきた。引き下げないと、法人税が低い国の企業との競争に負けてしまうという論理だ。確かに日本の法人税率は、数字上は世界的に見て低くなかった。だが、段階的に引き下げられ、有利な制度も充実している。税制に詳しい菅隆徳・税理士は政府や財界の対応を批判する。
「日本の法人税率が高すぎるというのは、大企業の負担を引き下げ、その分を庶民に押し付ける口実です。支払い能力に応じて負担するのが、本来の税のあり方です。法人税率はいくらもうかっていても同じ。法人税も累進税率にして、もうかっている会社はそれなりに負担するべきです」
 こうした主張に説得力があるのが、企業がお金をため込んでいる現状だ。利益の剰余金である「内部留保」は増え続けている。財務省の法人企業統計によると、18年度の金融業・保険業を除く全産業の内部留保は463兆1308億円と過去最高。7年連続の増加で、前年度から3.7%増えた。
 法人税が低いことで、経営者はもうけをため込みやすい。もし法人税が高ければ、国に取られるぐらいなら給料や設備投資を増やそうという経営者も出てくるはず。消費増税で個人消費が落ち込み、景気の失速が見込まれているいまこそ、法人増税すべきだとの意見もある。


 企業にとって有利なケースとして、輸出企業の消費税の還付制度も挙げられる。上の表を見てわかるように、輸出大企業は巨額の還付金を受け取っているようだ。個別の数字は非公表だが、元静岡大教授で税理士の湖東京至(ことうきょうじ)さんが推計した。湖東さんは、還付金は輸出企業への事実上の奨励金になっていると指摘する。
 消費税は、ものやサービスがつくられていく過程で段階的に課税される。最終的に負担するのは最後に買い物をした人だが、納税するのはものやサービスを売った企業だ。


 生産や流通段階で二重三重に税がかからないよう、税が累積しない仕組みになっている。例えばお店で千円の商品を買ったとしよう。千円の10%の100円を店が国に納めるわけではない。お店は客から受け取った消費税から、仕入れなどで払った消費税分を引いた額を納めるのだ。つまり仕入れ額が仮に900円で支払った消費税分が90円だとしたら、納めるのは100円から90円を引いた10円になる。
 輸出する場合は、海外では日本の消費税はかけられない。最終的な輸出企業は、仕入れなどで払った消費税分の還付を受けることができる。本来支払う必要がなかった消費税分が戻ってくるだけで、企業にとって得にも損にもならないはずだが、実は企業にとってうまみがあるとされる。
 なぜなら、消費税分をきちんと下請け業者に支払っていないこともあるためだ。米国のトランプ政権も、この還付制度が事実上の輸出補助だと問題視している。


「下請け企業が消費増税分をきちんと転嫁できない事例はよくあります。輸出企業は消費増税で還付金が増え、ますます潤うことになります」(湖東さん)
 税金の仕組みを知れば、庶民がいかに不利なのかがよくわかる。「企業は天国、庶民は地獄」とも言える制度を黙って受け入れず、公平な税制を求めていきたい。(本誌・吉崎洋夫、浅井秀樹)


    ※週刊朝日  2019年10月4日号



   純利益1兆円のソフトバンク「法人税ゼロ」を許していいのか?

  https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190930-00067498-gendaibiz-bus_all

  消費税アップは大企業が税金を払わないからだ 富岡幸雄 中央大学名誉教授

  https://president.jp/articles/-/30232



   2019-10-10

船中発策  税制改革







posted by 速魚 at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年10月06日

子供を政治の世界に巻き込むな




greta 01.png
 グレタ・トウ−ンベリ さん  2003誕生


 グレタさんが英国・プリマスより大西洋をヨットに乗り15日間で横断してニュ−ヨ−クに着いた。 国連総会にて地球温暖化の演説を世界のトップの前で演説する。 環境大臣の進次郎さんがえらくそれをホメておりました。 しかし、演説後の反響は様々です。

 テレビニュ−スで報じていた演説の一部を見ました。 全部を聞いたわけではないのですが、その時に小生が受けた印象は、彼女が激しい表情・表現をしたからかもしれませんが、紅衛兵かヒトラ−ユ−ゲントの子供たちの演説を聞いているみたいな印象を受けました。

 小生はヨットマンのはしくれなので、気象は少しは詳しいつもりである。台風18号が石垣島から朝鮮半島にむけて中国沿岸に沿って進行しています。 10月にこのコ−スを通るのは普通ではありません。7月−8月の想定される台風コ−スのようです。10月初旬には大陸から寒い高気圧が張り出してきたので、日本沿岸はるか沖を台風が通ってそのシ−ズンを終えます。 18号のコ−スであると、それまでにあと2−3回台風が日本へ来ないと終わりません。 実に今度の連休に新しい台風19号が日本に接近してくる予報がでました。まだ今月中は台風シ−ズンなのでしょうか。 こう考えると気象が通常ではないと思わされます。 しかし、地球には氷河期があったように、長いスパンでみると寒暖の幅があるのは事実です。 物事の説明に地球温暖化を小生も利用していた時期がありました。 ツバル諸島が沈んで無くなるような報道は事実では無いようです。 温暖化の問題は科学的には今でも解決された問題ではないと小生は考えるようになりました。既成の事実のように決め込まずに、もっと検討が必要でしょう。

 気候変動の問題に限らず、グレタさんのような子供を政治利用することは止めようではないか。 ここには、彼女の写真は穏やかなものを上にのせましたが、彼女に批判的な人が取り上げている写真は、彼女の演説中の表情で口の両端にキバでもそえれば鬼のように見える写真を取り上げて、貶めるイメ−ジ操作をしています。

 世界のトップの指導者を前にして、彼らの貴重な時間を割いて子供の演説を聞かせるのは止めていただきたい。 この状況をプロデュ−ス・演出した人は誰だったのか知りたいものです。後ろにいる人は子供を利用するほど焦っているのかもしれません。

 

    2019-10-6

 
  船中発策  国政改革



posted by 速魚 at 16:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年10月03日

自治体は自前の野外炊飯設備を持つべき  清谷信一

  
 台風16号が接近してきました。 ( 10/3 台風18号が韓国に上陸 ) ニュ−ス映像ではブル−シ−トが被った屋根が多く見られて、15号の台風被害の大きさに驚かされます。 内閣改造に力量を割かれて、ニュ−スプロデユ−サ−の判断が間違ったのでしょう。 千葉台風の被害の掌握に後れを生じ報道が少なかった。多くの人は千葉被害の大きさを知らずにいました。

 清谷さが述べているように、自衛隊の野外炊飯設備は200名程度の中隊が演習する際に持ちうる設備なのだそうです。師団レベルの兵站能力がないのでしょうか。先の軍隊のように。 なんでもカタログにのっている高スペックの兵器をほしがる政府と自衛隊は救護車、兵員装甲車などの普通装備の予算は微々たるものです。そのことは戦争を想定外にしている軍隊ゆえなのかもしれません。 




 野外炊具



yagaisetubi 02.jpg
 入浴設備



     清谷信一公式ブログより転載  2019-9-22

 「 未だ千葉県では電力の復旧がかなっていないようです。
 災害のたびに給食や風呂は自衛隊に頼っています。
 ところが自衛隊の兵站は極めて貧弱です。現場では避難民に温かい飯を食べさせ、風呂にいれさせて、自衛官は冷たい飯を食って風呂にも入れない。これを美談に持ち上げて、自衛隊すげーといっている人たちがいますが、それは単に自衛隊の給食能力が低いからです。中隊規模の200名ぐらい用の野戦キッチンしかもっておらず、演習では人手がたないから飯時になると戦闘部隊から応援を派遣するという体たらくです。
 他国ではトルコなどの途上国でもより大きいコンテナ式のキッチンや食堂を持っています。単に規模が大きいだけではなく、天候に左右されず、炊事できて、食べることもできます。
 自衛隊にはありませんが、野戦ベーカリーもあります。外国人も増え、パン食に親しんだ世代も増えています。

 風呂ではなくシャワーも必要でしょう。しっかり温まれないにしてもシャワーの方が効率がいい。清潔を保つという目的からすれば十分です。他国の軍隊では野戦風呂を持っている例をぼくは知りません。

 更に申せば、コンテナ式ランドリーも必要です。風呂やシャワーで使うタオルをはしから乾かさないと行けないし、被災者の下着なども洗う必要があります。

 このような装備はもっと自衛隊が充実させるべきですが、せいぜい中隊レベルの演習を仕事としているために充実しません。予算は他国の8倍もする低性能の小火器などで無駄使いしていますし、兵站の隊員も足りない。本来戦闘部隊縮小しても兵站を充実させるべきです。戦闘部隊だけでは戦えません。十分な兵站が維持できないなら戦闘部隊をへらすべきです。戦車や火砲なんで各100両もあれば十分です。どうせ本格的な着上陸戦は起こらない。であれば小規模でも最先端の装備と厚い兵站をもった組織に変えるべきです。
 ところが意識が自衛隊は変わらない。東日本大震災で陸自のUAVは一回も飛べない屑だと露呈したのに、その後スキャンイーグルの調達が予算化されるのは来年度の予算からです。一定数は揃うのは数年先です。
 無線も震災で通じつ、その理由の一つが軍用無線にあっていない周波数帯をあてがわれているからですが、それすら見直さずにそのままコ-タムを導入してしまった。
 自衛隊を頼るのは百年河清を俟つ、です。

 それはおいておいても、自治体も学習力がなさすぎです。災害時には自衛隊に丸投げという発想をいい加減にやめてはどうでしょうか。
 野戦キッチン、ベイカリー、シャワー、ランドリーなどを例えば県単位で持つべきです。そして災害時はそれを互いに融通する協定を結んでおく。

 こんなもの高々数億円もあれば調達できるでしょう。馬鹿なオリンピックだの、不要な議員の視察旅行、いらない箱物たためば簡単に捻出できる金額です。自衛隊用の装備は高いので外国から輸入すれば安価に揃うでしょう。
 維持費に関しては平時はイベントなどに貸し出せばいい。NPOなどに使い方を教えて貸し出したりすれば、有事のボランティアのオペレーターも増やすことができる。
 牽引式のシステムは免許の関係で使いづらいならば、システムを日本でトラックに載せればいい。
 

 動かす人間は自衛隊の退職者を雇えばいい。任期制自衛官や曹クラス、幹部は30~40代で予備役にして自治体に転職させればよろしい。人件費は例えば、2割を防衛省が持つ。その代わり一定の訓練を義務課して、有事には彼らを装備ごと招集する。そうであれば装備調達費用は半分ぐらい防衛省が持ってもいいでしょう。有事に安価に兵站を厚くできるし、平時の維持費は自治体餅なら防衛省は維持予算が必要ない。
 そうすれば自衛隊の再雇用もかなり楽になるでしょう。

 自衛隊が嫌いだという自治体は自前で揃えばいい。

 また毛布、ベッド、テント、ストーブなどは欧米のミリタリーサープラスの卸業者から買えばかなり安くなります。なんなら自治体が直接買いつければよろしい。アフリカなどの軍隊ではこういう業者から調達しています。 

 これは民間防衛としてぜひとも必要だと思います。東海や首都圏でも大きな地震が起こる可能性が高いわけで、住民は自分たちで守るという意識をもっと持ったほうがよろしいかと思います。」


   2019-10-3

今回の震災の仮設住宅に提言

http://hayame.net/custom33.html#spb-bookmark-640







posted by 速魚 at 07:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記