2021年02月28日

Flow my tears   流れよ我が涙



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  イングランド王国のジョン・ダウランド(1563-1626)が作曲したリュ−ト歌曲 「流れよ、我が涙・ Flow my  tears」 関ケ原合戦の時代1600年に出版され欧州で絶大な人気と知名度のあった曲である。 作曲自体は歌曲よりも器楽曲が先で 「涙のパバ−ヌ・ Lacrime Pavan」として知られていた。

 ダウランド自身はカソリック教徒で英国国協会の中での信仰に苦しみ、いつも悩める・嘆いているダウランド・semper dawland, semper dolens

と言われた。 ダウランド自身、「涙のジョン・ダウランド」(中英語: "Jo: dolandi de Lachrimae")と署名することさえあった。

 ただただ悩んで悲しんでいるだけでは退屈で請けいられるものではない。 曲を聴いていて心に突き刺さり深みに落ち込みながらも何かを得るものが彼の曲にはあるということであろう。



Flow my teares fall from your springs,
Exilde for euer: Let mee morne
Where nights black bird hir sad infamy sings,
There let mee liue forlorne.

Downe vaine lights shine you no more,
No nights are dark enough for those
That in dispaire their last fortuns deplore,
Light doth but shame disclose.

Neuer may my woes be relieued,
Since pittie is fled,
And teares, and sighes, and grones my wearie dayes, my wearie dayes,
Of all ioyes haue depriued.

Frō the highest spire of contentment,
My fortune is throwne,
And feare, and griefe, and paine for my deserts, for my deserts,
Are my hopes since hope is gone.

Harke you shadowes that in darcknesse dwell,
Learne to contemne light,
Happie, happie they that in hell
Feele not the worlds despite.

流れよ、わが涙、なんじの源から溢れ落ちよ。
とこしえの追放を受けたれば、せめて我に悲嘆を許し給え。
夜の黒き鳥が自らの哀れな汚名をさえずる地、
その地にて我を独り惨めに生きさせ給え。

消え失せよ、むなしき光、二度と輝くなかれ。
いかな夜とて闇の深さに足るものか、
望みを捨てて残りの人生を嘆きに生きる者には。
光が明らかにするのは、ただ恥辱のみ。

わが苦痛が癒えることは決してあるまい。
なぜなら主の慈悲はとうに逃げ去って、
涙と、ため息と、うめきの声が、わが煩わしき日々から、わが煩わしき日々から、
すべての喜びを奪い取ったのだから。

いとも高き幸福の頂きから
わが宿命は投げ捨てられた。
恐れと、哀しみと、苦しみこそが、この身にふさわしき報い、この身にふさわしき報い、
そして我自身が希望するもの。なぜなら「希望」はとうに去ってしまったのだから。

聴け! なんじら影、闇に住まう者どもよ、
今よりのち光を蔑め。
幸いなるかな、幸いなるかな、地獄にありて
このうつし世の悪意を知らぬ者たちは。



 さあ、カウンタ−テノ−ルのスコ−ルで 聞いてみよう。


Andreas Martin,  Andreas Scholl カウンタ−テノ−ル

 https://www.youtube.com/watch?v=y3REIVlo2Ss 4分  楽譜付き( リュ−トタブラチャ−)


 もう中堅になったジャロ−スキ−をギタ−で聞いてみる。


 Philippe Jaroussky カウンタ−テノ−ル、Thibaut Garcia ギタ−

 https://www.youtube.com/watch?v=xK03g_HC7dU  4分


 伝説のデラ−はどうでしょう。 カウンタ−テノ−ルを現代に復興させた人。


 Alfred Deller,カウンタ−テノ−ル  Desmond Dupré

 https://www.youtube.com/watch?v=85C1jX0P28k 6分



 ソプラノの女性歌手はどうでしょうか。


 エンマカ−クビ−(ソプラノ) Joel Frederiksen, lute, bass

 https://www.youtube.com/watch?v=mAn_RFiJX_0 4分


 バスがついていました。定評のあるエンマですが今回はイマイチ。 彼女単独のほうが良かったかも。


 Valeria Mignaco, ソプラノ   Alfonso Marin, lute

 https://www.youtube.com/watch?v=jkRrzAo9Wl4  4分


 ミグナコよいですね。 パウラは標準的な感じ。


 Paula Bar-Giese – ソプラノ  Hans Meijer – lute 

 https://www.youtube.com/watch?v=6tK5abwYUP8 4分


 エレンは良く透る声です。リコ−ダ−カルテットがまた良い


 Elen Lloyd Roberts ソプラノ with Palisander Recorder Quartet

 https://www.youtube.com/watch?v=5A11m_fwOvY 5分


 おなじみテーラ−のアーチリュ−トで歌うロスキスト


 Rosquist, ソプラノ, and David Tayler, archlute.

 https://www.youtube.com/watch?v=u3clX2CJqzs  4分


 ハ−プで朗々と歌うオコン


 ソプラノ: Michal Okon   harpe triple: Anthony Castin

 https://www.youtube.com/watch?v=fG9IcR-VXn8  4分


 リュ−トタブラチャ−付き  ステラはメゾソプラノです


 Stella Grigorian, メゾソプラノ  Alfred Polansky, lute

 https://www.youtube.com/watch?v=bBMGybAlFp8 4分 


 ポールがテナ−で歌う リュ−トはウイルソン


 Paul Agnew (テナ−)  Christopher Wilson (Lute)

 https://www.youtube.com/watch?v=Y9HKl8H0PWg 5分


 ライアンがバリトンで歌う アッカ−のリュ−トで


 Ryan de Ryke, バリトン  Brandon J. Acker, lute

  https://www.youtube.com/watch?v=M5l3N1nv1Kg 5分



 胡弓がすばらしい、弥勒さんのカウンターテノ−ル


 彌勒忠史 Tadashi Miroku (カウンターテナー Countertenor) 沈琳 Shen Lin (二胡 Erhu) 吉永真奈 (箏 Koto) 樋口泰世 (チェロ Violoncello)

 https://www.youtube.com/watch?v=1SVIZm3eF4o 7分



 ステイングが歌う現代のラクリメ


 ステイング・  Edin Karamazovリュ−ト

 https://www.youtube.com/watch?v=kpdT_izhCz8 5分



   ここからは器楽演奏


 リュ−ト独奏 Trond Bengtson

  https://www.youtube.com/watch?v=OgMFFLqEqaU 5分


 トリプルハ−プ独奏  Robin Word

   https://www.youtube.com/watch?v=szqbUk-B2ro 5分



 ヤコブ・ヴァン・エイクのラクリメ ルネッサンスフル−ト独奏で

 
 Jacob van Eyck: Pavane Lachrymae (Lachrimae, Flow my tears); Kate Clark, renaissance flute

 https://www.youtube.com/watch?v=L0iGJl8Z0c4 5分



 器楽合奏 楽譜付き   スタイル・アンテイコ

 https://www.youtube.com/watch?v=NYOrfK9xLfY  5分 5声の楽譜付き





  最後にあまり成功していない演奏をひとつ。冒頭ののみ聞く


 Joanna Radziszewska - soprano Anna Wiktoria Swoboda - lute

 https://www.youtube.com/watch?v=OsoVD1tfjhk 4分



 いかがでしたか? まだまだ他の境地へ誘うものもたくさんあるでしょう。





   速魚の ジョン・ダウランド全集 



2021-2-28











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2021年02月19日

仁尾 その2

  




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 仁尾の銭湯とスーパ−他


  瀬戸内にいると仁尾マリ−ナは台風除けにもなり、なじみのあるところになります。 おまけに、いつも天候に恵まれずにそこへ3−4日の滞在になることが多かった。 ここで仁尾の町とマリ−ナは紹介しています。 2020年秋にもここを訪れましたので報告します。




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 仁尾マリ−ナ ゲストバ−ス


 今回は加茂神社と父母ヶ浜へ行く。 最近に富に有名になった父母ヶ浜は海外でも注目され訪れる人が多いという。 有名な演奏家を招き浜にステ−ジを仮設して演奏会をやっていたが、あいにくその日は天気が悪く行われたのであろうか? この近くにコインランドリ−があり洗濯待ちの時間を利用して自転車で街を見学する。 加茂神社は由緒ある神社で境内に大きな連石がみられる。 近くの湊の入り口にあり通航に不便であった。 在住の資産家・塩田氏の援助によりこれを取り除きここへ奉納したものという。




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 加茂神社




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 本殿前の柱連石


 日の出日の入りの時期が美しいのであろうか、日中は遠浅の海岸がみられるのみである。 みかんの里として知られているのか、海岸道路沿いに直売店がある。



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 父母ヶ浜



  日曜日に詫間へ行き、城探索を計画したが、バス停で時刻表を見ると休日は終日運休であった。 市のコミュニテイバスの運行であっても少数の便が欲しいですね。ご注意あれ。




   仁尾
  http://hayame.net/custom13.html#spb-bookmark-13 

   仁尾城、天神山城
  http://hayame.net/custom27.html#spb-bookmark-4 


    2021-2-19





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2021年02月16日

フェ−トン号事件と捨て足軽


  




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 Phaeton 長さ39f 乗員280名 砲数38門


 「捨て足軽」という言葉に興味を持ち調べてみた。 フェ-トン号事件という出来事が幕末開国の50年ほど前に起きた。 英国フリゲ−ト艦がオランダ船籍を偽装して長崎に入港。その事件は出島のオランダ人を人質にとり水などを強要補給して出港した事件です。その時には長崎警備を請け負っていた佐賀藩は藩の財政逼迫のゆえに千名の兵の1/10しか配備していなかったので何も対処できなかった。それを契機に佐賀藩は藩政改革をして近代化に取り組み幕末最強の兵備を備えて維新に貢献した。 フェ−トン号事件後に佐賀藩と福岡藩は「捨て足軽」という自爆攻撃を考えて外国船に対処しようとした。先の大戦の特攻兵器のようなものです。 日本人は窮すればこのように考えがちになるのでしょうか?

 当時の欧州情勢はフランス革命により欧州には王政を打倒して共和制に変える動きが活発になります。 オランダもフランスに支配されてバタビア共和国になった。家康と交易協定を結んだオランダ王国は無くなっていました。 従いバタビアからは仏英の中立国の米船をオランダ船と偽り交易をしていた。英仏対立でフェ−トン号はオランダ船の拿捕を目的として長崎に来航したのです。





        フェ−トン号関連歴史年表

 1760    イギリス産業革命
 1775    アメリカ独立戦争
 1787-99    フランス革命 
 1789     ワシントン米大統領就任
 1798    ナポレオンのエジプト遠征
 1799    オランダがフランスに負けて属国・バタヴィア共和国になる
  1808    フェートン号事件
 1811   英国のジャワ攻略
 1818   ゴルドン浦賀来航、英国との通商要求
 1824   水戸大津浜と薩摩の国宝島に英国捕鯨船乗組員が上陸
 1825    外国船打ち払い令
 1853    ペリ−来航





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 フェートン号航海日誌  元船乗りの小野三平氏が翻訳

 石橋正明氏が30年ほど前に偶然にフェ−トン号の航海日誌が長崎図書館にあることを知り複写を手に入れた。長崎在住の元船乗りの小野三平氏が戦前に翻訳されたものがある。

最近のインタ−ネットとデジタル改革でそれの解読を石橋氏は続け進んだ。 彼は「フェ−トン号記念館」という興味深いサイトに関連することを発表されています。 薩摩の密貿易の件もおもしろい。

 小生のような薄ペラい郷土史と違い、専門家のような読み応えのあるものになっています。


  フェ−トン号記念館
https://phaetonmuseum.com/ 

  幕末の国際情勢とペリ−来航
  http://hayame.net/custom21.html#spb-bookmark-532 



      2021-2-16








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2021年02月14日

テイム・バラ−ド.Timothy Ballard



     


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 救出した姉弟を養子としたテイム



 米国にいる友人が公園で子供を一人で遊ばせることなど「とんでもないこと」 日本人には想像できないことと言っていた。 米国の子供の行方不明は途方もない人数であるという。

  テイム・バラ−ドはカリフォルニアに生まれユタのブリガム・ヤング大学を卒業して国土安全保障省の特別捜査官として10年以上働いた。児童誘拐と人身売買の捜査にあたり国境の壁などにぶち当たり捜査を進めるのには限界を感じた。彼はそれまでの安定した職を辞し、O.U.R(Operation Underground Railroad)を設立して児童救出と人身売買の救出に成果をあげています。

 下記のツ−サン作戦のドキュメンタリ−動画を見るまでは全くそのことを小生は知りませんでした。 2019年に議会に呼ばれて証言し、トランプ・ホワイトハウスの官民パ−トナ−シップ諮問委員会に任命されました。 日本語のウイキにも今のところ取りあげられていないので日本ではよく知られていない人だ。暴力行為におよんでいるBMLやアンテイファがノ−ベル賞の候補にあがるのならこの人にもらっていただきたい。



  ツ−サン作戦
 https://www.youtube.com/watch?v=hSptv3-yKbU   81分



  ハリウッド映画で見かけるように特殊部隊が突入する姿・防弾チョッキを身に着け拳銃を構えている実際映像を見て、これは日本人には出来ることじゃない。現地の外国警察の協力がなければ民間で出来ることでもない。 児童だからこそ誰も否定できなくて、腐敗しているであろう現地政府の協力も得られるのが現状であろう、 成人においてもあるはずで、それの解決には地道な作業で実績を上げていく他ないであろう。 

 今回のコメの国のボス選びでエプ島での行為が、本当に調べがついて世間に出るのはいつのことであろうか。 大手マスコミはいつ取り上げることであろう。 



    2021-2-14



posted by 速魚 at 14:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記