ヨット・ライフラフトの点検

4人用ライフラフト
ライフラフト(救命いかだ)のことです。
初めて遠洋クルーズに出かける前、教則本通り、ライフラフトの定期チェックを行うことにした。 中古で買ったヨットに付いてきたダンロップ社の8人乗りのライフラフト(認定品では無い)で、前の持ち主が大西洋往復する前に買ったものだから、私たちが受け継いだとき、すでに4−5年経っていた。 定期検査予定日から一年以上過ぎていたとおもう。
そこで、地元の公認ライフラフト屋に炭酸ガスボンベの詰め替えなどリパックを依頼した。 地元のヨット乗りと懇意だったところから、どうせ一度はライフラフトを膨らませ開くのだから、どのように開くのか是非見たい、とライフラフト屋に強硬に頼み込み、いくつかのライフラフトをマリーナに持ち出し、海に投げ出す実験に立ち会ったのだ。 他の2−3のライフラフトはウームなるほどと感心させられるほど、ポンポンと見事に開いた。 私たちのものも素晴らしい勢いで開き、浮いた。 がそこまでだった、いったん開いたライフラフトが開いた時と同じ勢いで萎みだしたのだ。 それはどこかに穴が開いていて空気が漏れたという程度ではなく、10何秒かでライフラフト転じて、黄色いビニィールが海面に漂うだけになったのだ。
ライフラフトに勇躍乗り移ったとたんに、それが黄色いテントに変り、自分が海のモクズになる絶望的な情景が脳裏に焼き付いたことだ。 メーカーに掛け合い散々嫌な交渉をし、(メーカーでは長時間、高温の下に置いてあったので、シーム(糊代)がはがれた、よって保管のやり方に問題があり、製品自体に問題はなかったとぬかしたのだ) これで温厚誠実をモットーにしてた私の心情に火が付いた。 もし、見合った保障、安全な商品を送ってこないなら、試験的にマリーナの会場でテストした時の写真をヨット・ボートの雑誌に流すぞ(これはハッタリでそんな写真は撮っていなかった)とまでスッタモンダやりあい、新品をセシメタのだが、そのメーカーの完成度を常に疑うようになった。 新品もポンツーンの上でだが、試しに膨らませ、テストした。 まったく問題がなかったから、メーカーの言うように、炎天下のデッキに晒し過ぎたのかもしれないが、もともとライフラフトはイザというときに運び出しやすいところ、デッキの後ろ、コックピットの近くに野ざらしにして、置いておくものだ。 その程度の風雨、温度に耐えるようにできていなければならないものだ、、、とおもう。
ライフラフトで漂流し実際に救助された経験をもつスペイン人のレーサーは外洋に出る前に自分で一度ラフトを開き、詳細にチェックしていた。 ラフトをたたみ、小さくパックするのはメーカー指定の業者でなければできないとされている。 だが彼に言わせれば、誰にでもできる簡単な作業だし、自分の命を守る備品をメーカーになんか任せられるかということになる。
以上はスペインでヨットを購入してクル−ズしていた時のお話しである。 日本で船検を通すためには高額なものを買うことになる。公認の物を買わずに、EPIRBや衛星通話などで逃げて認証の無いものを積み込む手もありか。ヨットのサイズで積み込みに違いが出るので確認してください。
2014-10-23、 2025-3-15 改作