2014年09月21日

船員の常務 その3   狭水道航法

   狭水道航法 

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   参考図

日本船B丸2000トンと外船A号7500トンとの狭水道での衝突事故について老元航海士の個人的見解です。必ずしも正しいわけではありませんが、船員の常務とからめて書いています。

 衝突までの経過

 B丸は
午前7時36分大石灯標を針路0度で通過、視界・波・風・潮流とも海況には問題なし。レーダーにて南下中のA号を4カイリほどに認める。7時37分半ごろ水道の中央で出会う恐れありと認識した。互いに右に転じ水路の各右側で通過するつもりで針路を右10度にして16ノットで続行。7時42分A号を1400mに見るところで携帯信号燈にて短光1回の信号を発し小刻みに18度まで変針した。そのまま進む。7時43分相手船が右転する気配がなく400mばかりに迫った。衝突の危険を感じて7時44分少し前に12ノットに減速した。汽笛及び燈火で短音1回の信号を発した。舵を右いっぱいにしたが7時44分A号の船首がB丸の左舷中央部に30度の角度で衝突した。
 A号は
7時36分少し前に右舷船首3.8カイリばかりに北上するB丸を認める。瀬戸で行きあうとすれば互いに右舷で航過するつもりで続行。7時40分少し前に正船首少し右約1.8カイリのB丸が紅緑を示すようになったので7時40分ごろ機関を停止した。7時42分少しすぎに正船首少し右1.3カイリに接近したB丸が紅燈のみで自船の前に急速に接近したが、相手船がいずれ左転すると思い神鼻の浅瀬を気にして右に舵を切るなと命令した。しかし7時43分そのまま400mばかりに接近したので、衝突の危険を感じ全速後進として右舵いっぱいとしたが効果なく衝突した。

 海難審判ではこの衝突は両船が、それぞれ狭水道における適切な航法を守らなかったことによるとされた。B丸においては同水道で行きあうことを避ける措置をとらず全速で進入した。、A号においてはいったん機関停止をしたもののなお行きあう恐れがあったのにこれを避ける措置をとらずかなりの行足で進行した。これらの原因で発生した。

 個人的な見解
 審判の採決のとうり両船が水道の中央付近で行きあわないような措置をとるのはもちろんのことです。神鼻沖の水深の浅いところをA号が嫌って右舷対右舷の航過を想定して航行していたのは狭い水道で行きあうケースでは妥当な判断であったとはいえません。A号のみの航行なら問題ないでしょう。B丸も狭水道の法規どうりの航法を想定して航行しましたが、その想定がはずれて事故になりました。
 老生も欧州のコンテナフィーダー船で船舶の輻輳する海域のドーバー海峡や北海を航海して学んだことですが、VHFの16チャンネルは必ずどの船舶も点けっぱなしで聴取しています。それを利用して相手船の進路の意向や自船の進路の希望などをやりとりして衝突防止に役立てています。そんなに難しい英語ではありません。少し聞いて慣れれば日本人でも使えます。今回の場合もB丸からA号に呼びかけて意思を伝えれば簡単に防げたと思います。A号が常識ばなれの行動をとるのならA号が呼びかけるべきかもしれません。

今回は大型船どうしの問題ですが、ここで述べた本船とヨット・漁船のケースも有効です。
 最近の学生は英語力が向上しているので、学校で簡単なテキストで習得できます、その使用を促す教育をすべきでしょう。外航日本人船員が絶滅した今では日本沿海で航行している大型船は外国人による運航となっています。水先人の能力も落ちている気配も感じますが、水先法を改正して狭水道を通航するケースでは水先人を義務つけるのも良いかと思います。今回は衝突予防法にはない港則法や海上交通安全法の適用される海域ではありません。かって中国船の大型船が鳴門海峡を通航しようとして事故ったケースもありますので日本の本船乗りの常識をこえる船長さんが運航しています。改正が必要です。

       
   参考法規

 第9条 安全であり、かつ、実行に適する限り、狭い水道の右側端によって航行する。
 第34条 短音・光 1回  本船は右に針路を転じている。
 第14条 2隻の動力船が真向いまたはほとんど真向いに行きあう場合において衝突する 恐れがある場合は、互いに左舷側を通過することができるようにそれぞれ針路を右に転じなければならない。今回は狭水道ですのでこの規定は適用されません。
 第38条 切迫した危険のある特殊な状況ではこの法律の規定によらないことができる。

       2014-9-21

 
     ヨットの天文航法
     http://hayame2.sakura.ne.jp/details1033.html#天文航法
     VHFの小型船普及と事故防止
     http://hayame2.sakura.ne.jp/details1037.html#VHF
     海上自衛隊航海科の充実
     http://hayame2.sakura.ne.jp/details1037.html#航海科



     
posted by 速魚 at 04:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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