2016年01月10日

B-29 勤労動員・ 電単  大幡


    勤労動員学生の見た・働いた 敗戦までの風景



       
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  戦時下の中学では遠足の代わりに野外教練が実施され。1年に軽井沢・2年には富士登山を伴う御殿場と、軍の設営した演習場での2−3泊の催しがあった。しかし、昭和19年になるとこれに代わって勤労動員が待ち構えていた。

それは、重要施設の延焼防止のため近接する木造住宅を強制撤去し、その跡地の整地・整理に駆り出されて、荒川区の王子製紙近くに行ったのが始まりだった。自宅近くで1階の壁を取り払い、むき出しの柱に鋸を入れ、2階にロープかけ、何人かで引き倒し、残された木片を燃料として持ち帰った憶えがある。

 やがて、工場勤務として板橋区の凸版印刷に数か月通った。そこには巣鴨から志村行の市電にのり終点辺りである。同学年の別のグループは近くの金門製作所(ガスメーターで知られる)に配属され、機雷を作っているときいたが、こちらでは紙と鉛の活字に囲まれ、戦争の雰囲気は全くしなかった。

 続いて、赤羽駅から徒歩20分程、隅田川沿いの理研金属工業に配置替えになった。ここでは機関砲に装填される弾体ケース付属品運弾板の部品をヤスリ仕上げするのが作業の中心だった。 3月10日過ぎ川に面した工場から水面が見え、10体余りの土佐衛門がただよっている。黒焦げで着衣もなくガスが溜まってふくれあがっていた。余り驚きもなく、日が代わって又数体来ても無心に眺めていたマヒしていたのであろう。悪童と語らって焼け跡を見に行こうと、工場を抜け出し東十条駅に行ったが、切符が統制されていて思いを果たせなかった。後に通勤定期があり無礼覚悟で車内から望見する丈でもとホゾをかんだ。


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  下って、4月14日頃板橋地区がやられ、住居の目白から池袋までは行けたが、赤羽線が全線不通で線路上を板橋に向かうと、途中山手線車庫でかなりの車両が全焼して骨組みだけになっていた。板橋駅に差しかかると、貨物線に点々とウンコの山が築かれてういた。恐らく軍用列車がP-51等の機銃掃射を避けて、B-29の空襲前に無事発車いずれかに向かったのであろう。構内倉庫は半焼け状態で、黒焦げの山であった。近寄ると火に当たり膨れ上がったカンズメが散乱している。夢中でカバン一杯ひろい集め食料不足の折から、勇んでそのまま帰宅したと思われる。
  5月29日工場に居た、昼頃である、隅田川下流の方面黒雲がもくもく上がり、横浜が全滅した。

  6月勤務先が、下流北千住の東京製鉄に移った。敗戦間際の配属の吾々に、鋼の特性についてマルテンサイト・オーステナイト等の講義があった、のどかなものである。仕事は体格の大きいものが、小型ロール(圧延機)に配属され、赤く熱したビレットを金火箸でつまみ、ロ-ルの小孔に差し込むという荒っぽく、かつ危険な作業で戦中とはいえ、15-16才の子供がよくやったと思う。小生等小さいものは構内の雑用にふられ、平炉工場の鉱砕片・レンガ等を小運搬した。

  8月、工場の片隅で広島に落とされたのはウラニウム爆弾だ、マッチ箱程度の大きさで戦艦を真っ二つにする等ダベっていた。余り仕事が無かったようであり、空襲警報が鳴ったが、大したことはないだろうと話を続けていた。フト見上げるとB-29単体の飛行機雲が見え、しばらくして黒い爆弾様のものが向かってくる、ハッキリと視認した。もしも爆弾であったらこの文章は存在しない筈、奴は近接して破裂、空中に白い雲が生じた、伝単である。しかも数メートル先に伝単ケースの重りが落下した。続いて伝単が花ビラのように舞い散った。伝単初見ではない、6月ごろに、沖縄戦で台風が吹き荒れ、米軍を蹴散らして正に神風という風聞があった。之に対応するかのように、B4程のア-ト紙に新聞記事として、台風の記事とささいな被害であったと記されていた。鮮烈な伝単の記憶がある。これら禁止されていたが、隠して持ち帰り、戦争記念として保存していたが、いつの間にか散逸してしまった、残念至極である。


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  まもなく敗戦となった。8月16−17日の事、椎名町(板橋区)の住居から近くの焼け野原、双発の友軍機が」やってきて、低空から伝単が降ってきた、ザラ紙に謄写版刷りはがき大のものだった。走り書き数行、徹底抗戦の趣旨だった。厚木航空隊・園田一味の仕業と後で知った。その伝単も今は無い。


            2016-1-10


     B-29誕生物語とB-15、B-17  
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     ゼロ戦に寄せる思い
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     刑事フォイル
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posted by 速魚 at 06:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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