船舶法という明治の時代にできた法律に日本船籍は自国民ないし登録のある会社しか船舶は所有できません。従い他国の船舶を所有して運航するためには、当該国に会社を設立登記してその会社の所有ということで、他国に船をもつことになります。
本船や漁船は節税のため、船員の経費削減のため、漁労制限を逃れるためその他の国内規制回避に、この便宜置籍の制度を先進国の船主は利用しています。
ボートやヨットでもこれを利用しているオーナーはいます。今までに小生が輸入代行で80f以上のヨット2隻をお世話しました。その2隻に海外船籍を取得して日本に係留しています。その理由は
1. 輸入の際に国内規制の項目が明確になっておらず、また裁量によることもあり,
輸入したけれど航行できないというリスク回避のため
2. 輸入通関消費税の支払いがいらない
3. 船検の費用がない、改造や備品の費用が節約できる
4. 免許を持つ必要がない
お世話してから10年くらい経過しましたので、日本で支障なく今日まで運航しています。
最近では更新のときにその国の備品などの検査を必要になってきました。 係留地より関税区を離れて航海するときには移動申請は必要です。
免許は緩和されて24m以下までのれるようになりましたが、船検は不明瞭な総トン数20トンを超えると国の機関の検査になり、改造も含めて400-500万円は費用がかかると云われています。他に法定備品代もあり高額な出費を要します。外国では免許もいらず簡単な登録だけで済むのですから、便宜置籍を利用するオーナーはいますね。
2013-12-6
追補
パナマ文書と便宜置籍船
かってパナマシテイズンとひやかされた記憶があります。 パマ船籍の船に乗組員として乗船していたからです。 パナマ政府発行の海技免状を持っていました。

乗船していたコンテナ船
盛んにパナマ文書の内容が報道されるようになりました。 アメリカの傀儡国家のパナマのことですので、多分にこのことは、米国の情報戦略のうえでのことと留意しておく必要があるでしょう。 その意図は大分時間が立たないと判明しません。
もうすでに国の高官が辞任した件があります。 この文書により何が起きるのかはまだわかりません。 今までの報道でもソフトバンク、ユニクロ、、楽天など今をときめく企業が報道されている。
プレジャ−ボ−トを外国船籍で日本国内で乗るケ−スをここでも述べています。 今のところ不都合な事実を聞いておりませんが、今後は少し動きがあるかもしれません? いずれにしろ便宜置籍の制度は日本の外航商船会社が税金を含めて所有コストを下げて競争力を高めるために40年も前から始めています。今では大手船会社でもそれなしではやっていけません。 パナマ船籍の実質日本経営の船は数え切れないほどあるはずですが、今回の報道では名前が挙がってきていません。
プレジャ−ボ−トの船籍では、単にそれの登録をするために会社を設立します。他の行動はしていないと思います。でもその会社で他の展開をできないわけではありませんから、オーナーの自覚次第でしょう。 こんごの報道に注意をしましょう。
2016-5-16