2017年01月14日

 B 2 9 撃ち落した物 遺した物     大幡


 昭和20年4月頃だったか、昼間家に居た、東の方角一機のB29が煙を引いて墜落していった。思いたって現場探し、さして手間どらずに見つかった。目白の学習院裏手、高田の馬場寄り旧船舶研究所の辺りである。散乱するアルミニュウム片の中から、長さ5 60センチの一片を手にする。翼の断面をして航空機断片とハッキリ証明できると喜んだ。近くにスウパアチャアジアアと思しき塊があり、間違いなくB29と判定できる。当時の日本にわスウパアチャアジャアアそのものが全く無かった、又、断面の小さいのは当然補助翼等であろう。大切に抱えてもち帰った。
 日時を特定しようと関連記事を探したが見当たらない。百間先生にも無い、もっとも先生の九段から見れば、はるか西の淀橋方向は死角かもしれない。

そして、B 29の撃墜基数も僅かものであろう。勇戦奮戦の物語に対して、組織的な迎撃記録が殆ど見当たらない。おそらく総数で100機を越えないのでわないか。
 ひるがえってヨーロッパ戦線で、連合軍の爆撃機の損失数は数1000機台におよび墜落して捕虜になった塔乗員も数1000人を楽々こえている。B 29の成層圏との対比でわあるが、迎撃力においてドイツと日本の工業力の差が、如実に現れているのであろう。 
しかし、被弾して目前の墜落にいたらなくとも、基地に帰投できず、海上にかなりの機体が不時着水するようである。大空襲のあと、再度警報が鳴り、敵数目標南方海上を遊弋中と、報ぜられるのが通例である。
 

 これは、海上に不時着した搭乗員の収容作業と断定してよい。B 24かカタリナ飛行艇である。発見された漂流者は潜水艦に収容される。

 2月19日始まった硫黄島上陸で、洞窟に篭り、3月23日までつずいた栗林中将の遅延作戦にもかかわらず、3月4日には一機のB 29が着陸に成功した。驚くべき設営力であり、僅かとわいえ我が対空成果の証でもある。
 3月10日東京に始まり13.4日名古屋.17日大阪.神戸.19日再び名古屋と、毎回300機以上の爆撃により、基地の焼夷弾がそこを尽き、その補充がつくまで、4月16日 5月11日の間大都市えの焼夷弾攻撃が中断された。その影には4月1日から始まった沖縄戦と、これに対応する神風特攻作戦を阻止するため、九州地区の基地爆撃に、B 29の全力が振り向けられたのである。 この1ケ月の余裕が、大都市からの子女の疎開につながったのである。暫らく東京に爆撃がなかったのをはっきり覚えている。しかし5月20日.東京南部、29日横浜昼間、硫黄島から発進のP-51が護衛として参加した。此のとき揚がった黒煙は忘れることができない。さらに、B-29の5空団の内315空団は夜間専用として、尾部を除いて全機銃を外して、搭載量を増やして爆撃を行った。わが国の夜間迎撃力は全く無視されるしまつであった。

 空中で色々のことがあったが、地上でわ3月10日一夜で10万程の死者が出た。 民間人の一夜だけの数としては第二次大戦最大の出来事ではないか。その遺体は、当時天皇の巡視に備えて、焼脚処分の余裕も無く、到る所で仮埋葬され、其の詳細は別表の通りである。戦争が終わって、昭和23年頃焼け残った両国に戻った。家族も疎開地から帰り一家団欒が再現した。日々の生活が落ち着いて、近くの江東( エヒガシ )公園が遊び場として復活、ギンヤンマ等が飛び交い、それを追って、高さ2米位長さ20米位の蒲鉾状の土饅頭を駆け上がり駆け下りた。知らなかった、遺体が埋葬されてたのだ。知らぬが仏とわいえ誠に申し訳ない、バチ当たりである。 

 表を見ると江東公園 50 とあり,小生が目にした錦糸公園の5.6基の土塁でわ 12895 とあるが、江東の2基で50とは全く解せない事である。この土塁知らぬ間に改葬され公園は平地に戻っていた。そして、B 29のアルミ片も、伝短も、 海と空 も 無くなっていた。しかし、色々な情景は脳裏に焼きついてあの世に持っていくことになるだろう、そうして僅かでも、敗戦の痛みを後世にと、この項を立ち上げた。 


toukyou kuushuu 01.jpg
 仮埋葬地と埋葬数、 

B-29 東京焼尽-3月10日 内田百聞、
http://hayame.net/custom24.html#spb-bookmark-95
                    

    2017-1-14



posted by 速魚 at 09:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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