スイスは2度の世界大戦で中立を守り国土を蹂躙されることはありませんでした。爺は各家庭に置いてある銃とそれを家庭紛争に使用しない国民の意識が中立を守ったと安易に考えていました。

高齢者の訓練 歴史群像より
中立政策をとっていても第2次大戦では,交戦国の都合により、ノルウエ−、デンマ−ク、オランダ、ベルギ−、ルクセンブルグは独に占領された。連合国側でも、中立的な政策をとったヴィシ−政府の艦隊を独に接収されないため、英国艦隊がそれを攻撃したこともある。
中立を声高く言うのみではそれは守られません。
スイスの取った政策 樋口晴彦さんによる
軍事面では第2次大戦が始まると450万人の国民のなかから63万人・14%を動員した。実際には、独は仏のマジノ線を回避して、ベルギ−方面から仏に侵攻したのだが、実はマジノ線を避けてスイスから侵攻することも予想できた。それでスイスはアルプス山岳部に籠って戦う作戦をとる。空の戦いでは、両軍による領空侵犯に、どちらへも与しないで撃墜も辞さずの空軍による作戦をとった。また連合国のスイス領国の通過を認めないと独に説明して理解を得た。
国民生活面では52%の食料自給率であったが、耕地面積を倍増させ、59%まで増大させ配給制も実施して、隣国から「楽園のよう」と言われるまでになった。また召集されていない家庭から召集された家庭に手当を支給する制度を制定する。
検閲制度を実施して左右の言論を押さえた。スイスの国民の75%がドイツ系であるので、難しい舵取りです。
経済面では独とは必需品の燃料炭や鉄鋼を輸入し、兵器、アルミ、工作機械、医薬品を輸出した。独は金や有価証券を売却してフランを手に入れた。当時のスイスフランは貴重な決済に必要な国際通貨であった。
航空機が兵器の主力であった当時に、アルミの製造に電気は欠かせないものである。スイスは独にその電力を水力発電により供給した。またスイス鉄道は独伊の貴重な輸送手段であり兵士以外の輸送に貢献する。
このように、中立といえども独の戦争経済にはスイスは大いに貢献した。独には枢軸国に組み込むより中立のほうが有利と判断した。
以上歴史群像2017−2月号より
2017-2-4