
WAKASIO
モ−リシャスにおいて、船主OKIYO MARITIME COR 、船籍パナマ、船員インド人3名、スリランカ人1名、フィリピン人16名、運航.商船三井(日本)、バラ積貨物船(ケ−プサイズ)、MV"wakasio"が座礁して燃料重油1000トン余りが漏油して被害をおこしました。
7/25にに事件が起きたが9/10になってもまだ報道があります。 それによるとモ−リシャス沖合1.7キロまで接近して座礁したとのこと。それには海図の縮尺を間違えたとのことです。
元外航航海士で便宜置籍船に乗船したこともあり、逆に大型ヨット2隻を便宜置籍にする手配をしたことのある両サイドを知る小生が、ここに述べることは珍しいケ−スだといえましょう。 保険を使っての事故賠償のことや事業倒産に関しての商法については詳しくはありません。
船主OKIYO MARITIME CORについては、それが日本にあるのか外国なのかは報道がありませんので、わかりません。 便宜置籍にする立場からいうと、これはパナマに作った船会社でしょう。 というのは、パナマ国民や会社でないかぎり船主にはなれず、船籍はとれません。 小生が関わった大型ヨットの場合は弁護士を通じて会社(ペーパ−カンパニ−)を設立し銀行口座を持つように手配をしました。 従いOKIYO MARITIMEはそれにあたると思われます。 マスコミのかたは取材して教えてください。
事故の賠償は船主が行い、保険で賄う以上のことは船主が払うことになります。資本金は少額であろうことから、油漏出のような大きな金額が予想される事態ではすぐに船主は倒産でしょう。 その会社は日本の長鋪汽船株式会社の子会社ということである。そこは社員20名もいないような船会社ですので親会社といえども、どこまでのことができるのでしょうか?
世間では日本の船が事故を起こしたという報道なので、乗組員が日本人でないことが不思議のようであった。 30年も前に外航日本人船員は絶滅しています。 それから船員人材が高齢化と新規若年乗組員の減少ゆえに枯渇していますので、もう外航船員は存在しておらず、官庁の船に乗っているのみです。
欧米の船には、今は船長・機関長など2-4名程度の本国人と外国人船員とで運航しています。このような混乗制度を日本が採用しなかったので外航船員絶滅の事態となりました。 外航船員の養成には10年以上の経験が必要でシーレ−ンを守る事態になったとしてもスグには間に合いません。
航海士であった感覚からすると、島に1マイルまで接近することは常識外れです。 10万トンもあるこの船では航路標識のある狭水路でもないかぎり(離岸距離といいます)、大洋航海中では最低では10マイル、通常は20マイル以上離して航行するものです。
船長が海図に出港してから入港するまでの航路を記入しており、航路を決めるのは数少ない(皮肉)船長の仕事の中での重要な作業である。 従い座礁した時間の報道もないので当直勤務の担当が不明ですが、下級航海士が航路指示に従わずに航路から逸脱したものと考えました。
現在では小型ヨットでもGPSが容易に利用でき、まして本船では本格的なGPSがダブルで設置されているでしょう。その故障は考えられません。 レーダ−でも30マイル離れていてもそれを利用して船位が求められます。 船長がWiFiを利用するために1マイルしかクリアランスのない距離へ10万トンの大型船を近寄る航路を指示するとも思えない。海図の尺度を間違えたなんて初歩の初歩のことで、これも考えられない。 最近ではプロッ−タ−を利用していて海図を使う作業が劣化しているのでしょうか? かっては遠洋航海には必須だった 天測が必要備品のように貶められその技術が忘れ去られようとしているような状況なのであろうか。
日本の外航海運は政府の行政主導で中小の海運会社は大手6社に集約された。 それもコンテナ-船でさえ最大手の郵船と商船三井の2社でさえ存続できなくて、ひとつにまとめて荷物の集約と運航をしているという。
今回の実質的な船主は岡山県の笠岡市にある長鋪汽船(株)である。 外航船を10隻余を所有する。 昔なら中小労団体に属する船主であろう。 社員が20名あまりでは乗組員はフィリピンにあるマンニング会社が集めて管理していると思われ、自主乗組員管理はしていないのではないか。 荷物の集荷も行わずに運航会社におまかせになる。 修繕・保守・ドックでさえ自社で行っていないのかもしれない。 運航会社との契約管理のみを行うような人員構成である。 社員をモ−リシャスの現場へ派遣して対処するにはとても社員が少なすぎると思います。
税金を逃れて利益を享受してて、お気楽な企業経営をしている会社であるが、違法なものでもない。
果たしてそこへ税金を投入することになるのであるのなら、そのような海運行政は検討・見直しが必要かもしれません。
この後どのようになるかは、報道しか知ることがないので、その実際と実状は分かりませんが。 マスコミの記者さんの海運に対する知識も浅いようで、今回の船もタンカ-と初期報道しているものがあったようだ。タンカ−の漏油なら1000トンではなく何万トンレベル以上になっていて、モット悲惨なものになっていたであろう。
便宜置籍の一部に加担した小生であり、それを批判できる立場ではないのであろう。 大型ヨットの便宜置籍については、海外でしか物がないので、購入して廻航になる。日本船籍にして持って帰るには法的な問題があり、個人がプライベ−ト使用で所有運航することが法的に想定されていないのが問題である。 便宜置籍にして個人がヨットにのるのは違法なものではない。免許・船検査で規制されることがなく、日本の法規には縛られない。 日本にはプレジャ−小型船に免許・検査・運航に不合理な規制がある。
ヨット・ボ−トの改革
http://hayame2.sakura.ne.jp/details1030.html
便宜置籍船 まとめ
http://www.hayame.sakura.ne.jp/99_blank054.html
2020-9-12
「詳細海図なく現場の水深も誤認、座礁に」 モーリシャス重油流出 商船三井が原因公表
7月に西インド洋モーリシャス沖で起きた大型貨物船「わかしお」の座礁・重油流出事故で、船を運航していた商船三井(東京)が18日、事故原因の調査結果を公表した。船員らが船上から携帯電話を使うため島に接近した上、現場の詳細な海図を用意していなかったため、位置や水深を正確に把握しておらず、座礁につながったとしている。
わかしおは中国からシンガポール経由でブラジルに向かっていた。モーリシャス沖を通過する船は、領海(岸から約22キロ以内)に入らない程度の距離を取るのが一般的。ところが、わかしおは座礁の2日前、船員らが携帯電話で通信を行うため、沿岸にさらに接近するよう針路を微修正した。
島に接近した際、詳細な海図を用意していなかったため、想定以上に沿岸に接近。現場の水深も実際には10メートルしかないのに、200メートル以上あると誤認していた。レーダーや目視による状況確認も不十分だった。モーリシャスの沿岸警備隊は事故直前、島に異常接近するわかしおに気付いて数回、無線で警告したと説明している。ただ商船三井によると、わかしお側に警告を受けた記録は残っていないという。
さらにわかしおは事故前2カ月以内にインドネシアや台湾の沖でも沿岸に異常接近した記録があり、この際も携帯電話を利用するためだった可能性がある。
事故について船籍がある中米パナマの海運当局は、船員側に「監督、監視の欠如や不注意があった」とし、適切に対応していれば回避できたと指摘している。モーリシャス政府も原因調査を続けているほか、日本政府も運輸安全委員会から調査団を現地に派遣するなどして協力している。インド人船長ら2人が安全な航行を怠った容疑で逮捕されている。
わかしおは長鋪(ながしき)汽船(岡山県)の子会社が所有・管理し、商船三井がチャーターしていた。商船三井は再発防止策として、乗組員教育への関与や船の運航を本社側で支援・監視する態勢をそれぞれ強化する方針だ。
事故では燃料の重油約1000トンが海に漏れ出した。業者やボランティアらの手で大半が回収されたが、現場はサンゴやマングローブ林など貴重な生態系が残るエリアで、中長期的な影響も懸念されている。
【ヨハネスブルク平野光芳】毎日新聞 2020/12/18 15:38
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