2013年10月21日

地中海孤島めぐり4

  ラタス島 

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 イビサは約50の島からなる。と言えば奇妙に聞こえるかもしれないが、実際には島と呼ぶに足りない海面から申し訳程度に顔を出している岩を数えてのことである。スペイン式の海図では、ご丁字なことに、四六時中波に洗われている岩にも、アオルカードス鳥、カレゴレ島、ムラダ島、マルビナス島等、仰々しくも立派な名を与えている。それらの小鳥や岩の中には、その形をそのまま名前にしているものも多い。いわく、レロング島(丸島)、エスボンハ島(スポンジ島)、ラタス鳥(ねずみ鳥)等である。小鳥群は、いずれも格好の漁場をイビサ島民に提供して来た。金持ちは島を買い取り、自分のパラダイスを作ろうとした。フリオ・イグレシアスもイピサ北東にあるタゴマゴ鳥を自分のものにしようとした。抜け目のない観光業者
は、小島に歓楽の別天地を作ろうとした。イビサの港から南西に一キロぱかり下った所に、フィゲレタスという新市街がある。そこから三キロに渡って、島で一書長いデンポッサビーチが始る。そのフィゲレタスとデンポッサビーチの境目の沖に、トーチカのような、コンクリートむき出しの構築物に覆われた島がある。ラタスふと呼ばれる岩で、ねずみがうずくまっている姿に似ているところにその名が由来する。しかし、現在、島の形はコンクリートによってすっかり変えられ、ねずみを連想することは難しい。イビサ本島かは四〇〇メートルぱかりの、浅くて海草の多い静かな水路で隔てられた、長さ204メートル、幅122メートルのこのラタス島に、大娯楽センターを築こうとした輯光開発会社があらわれ、鳥の形を変えてしまったのであ
る。今から二〇年以上も前の、スペインでカジノが公総されるはるか前のことである。カジノ、レストラン、ナイトクラブ、ディスコを合せた壮大なプランで、内湾に描(いかり)を下した豪華客船のような別天地を造ろうというアイデアだった。泳ぎの達者な者なら容易に渡れる距離だが、イルミネーションをたくさんつけたミシシッピー川のリバーポートの小型版を二四時間無料で運行させよう、内装は思いきり妻華にしてモンテカルロをここに再現しようと話は進み、地元財界も出資を決め、認可が下りると同時に工事が始った。まず、桟橋を作り、荷役に備えた。すべて機材、資材、労働力を小舟で渡すという大きなハンディにもかかわらず、工事はむしろ異常ともいえるスピードで進み、基礎も終え、骨組みもでき上った.オープニ
ングの日取りやショーの顔ぶれまで取りざたされた。当時の「ディアリオ・ヂ・イピサ」(地元新聞)は熱っぽく伝えている。が、そのころから、スペインお決りの汚職が表面化し、工事は開始したのと同じ勢いでバタリと停止し、多くのスキャンダルとむき出しのコンクリートの外容だけが残った。誰もが自己の利と他の非を語り、真相はわからない。正式に下りていたはずの工事の認可まで、いつの間にか取り消されてしまった。毎年残骸を取り壊す話が出るが、エ事の責任の所在もlまっきりせず、イビサ市にそんな資金もなく、そのままの姿で風化を持っている。島の名ラタスはもはやねずみ形を表さなくなってしまったが、皮肉なことに本物のねずみが住み出した。莫大な量の圭資材を運んだ艀(はしけ)や、島に住んだ工事人夫達に
よってもたらさせたものだろうか。成長しても五センチぐらいにしかならない超小型のねずみが、人気 (ひとけ) のなくなって久しい岩にチッポケな草木の根を食べながら、壮大なカジノ宮殿の残骸に人間の愚かさを笑うように、住んでいる。


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posted by 速魚 at 09:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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