2013年10月23日

地中海孤島めぐり6

  6. サルジニア・アシナラ島

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 アシナラ島の監獄

 地中海の島々は、時代の列強の力関係によって属する国を何度も変えて来た。一個の島だけで強力な政府、国家を作り上げることができず、スペイン、アラブ、イタリア、ノルマン、トルコ、フランス等の支配を一方的に受けて来た。
 島民は反権力的な自治地下組織を作り上げた。シチリアのマフィア、コルシカ島出身者で固めたフランスの地下組織ユニオン・コルソ等は、隠然たるカを持って現在に至っている。スペインの島々でも、カナリア諸島、バレアレス諸島に小さな自警団的組織が見られた。フランコ時代、グアルディア・シビルが立ち入ることのできない山村が幾つもあった。村で起った事件は村の組織が処分した。そして、よそ者に対しては厳しく沈黙を守ったものである。
 サルジニア島は大きな島である。四国よりははるかに大きく、九山川には少し足りないこの島も多くの征服者を迎え入れたが、アラゴンもこの地を長く支配した。アラゴン人は鳥の北西にアルジェロという城を築き、そこを本拠とした。この地方では、未だに中世のカタラン語(もちろん、四〇〇年の長期にはサルド語やイタリア誇の影響を受けて変って来たであろうが) が話されている。
 バルセロナの大寺院前広場で毎日曜日に見ることのできるサルダーナという輪舞がある。日本の盆輌りに似ていなくもないが、手や身体の動きは少く、足で軽妙にステップを踏みつつ円を描く輌りだ。このサルダーナは、アラゴン人がサルジニアから持ち帰ったものだ。原形を北サルジニアの漁村で見た。同じ円舞ではあるがエネルギッシュな激しいもので、‥美しく着飾った村の娘達は一曲終るごとに大きく肩で息をし、純白のブラウスは汗でベットリ背に胸にまつわり付いていた。
 アルジェロは城壁が海にまで迫って港を囲んでいる落ち着いた街である。アラゴン人が去った後、小さな漁港としてその命を保って来たが、観光ブームと時を合せるかのように、近くのカッチャ岬に世界でも有数の大鍾乳洞(しょうにゅうどう) が発見された。切り立った崖(がけ)が陸から近寄ることを拒んでいたので、アルジェロから冶渡し舟で訪れるほかはなかった。今では、六五〇段もの急な階段のぼれば陸路でも行くことができるようになった。海面と同じ水位の洞穴なので小舟をこぎ入れることができる。広大なものであるが、それでも、まだほんの一部しか開発されていないという。鍾乳洞は摩力を持つ。一歩足を踏み入れると空気の冷たさに打たれ、外界での色と光の観念が通じなくなり、音も極度に鋭敏に震える。グロッテ・デ・ネットゥノと呼ばれている。
 アルジェロの街だけではないが、北サルジりアはスキューバダイビングの盛んなところだ。潜水がレジャー・スポーツ化する何十年も前から、サルジり・アの漁師といえば半数は潜水夫で、海綿とサンゴとを採していた。滞桃色をしたものから血のようなものまで、サンゴを売る店が多い。国内用、輸出用ともに、サンゴ市場を牛耳っているのはマフィアである。
 サルジl一アの北西の端にアシナラという特異な島がある。100年程前まで、この為に半農半漁の島民が親世代にもわたって住んでいた。しかし、アシナラ島民はサルジニア本島の北端の土地を与えられ、強制的に移住させられた。彼らはステインティーノという漁村を作った。時の政府はアシナラ島を監獄島にした。アシナラは、サルジニアとは一キロメートルぱかりしか隅っておらず、しかも、水路の中間にはローマ塔を持つビアナ岩がある。絶海の孤島の脱獄不可能な収容所というわけではない。もともと天候のよいこの島にサナトリウムを作ったものらしいが、刑務所の役割の方が大きくなり、今ではただの刑務所ではなく、特離の必要のある重刑者のみを収容するイタリア全土に名を残すマフィアの幹部、イタリア赤軍がここに収容されている。 この島は囚人だけのものではない。世界で唯一と言われる白い野性のロバが生息する
のだ。白いロバなら殊更珍しいものではないが、アシナラ島のロバは白子(albino)なのだ。白子は弱体で生殖能力も劣るとされているのは人間の場合と同様だが、それがこの島で繁殖した。アシナラ鳥への上陸は許されないが、白いロバを見るだけなら問題はないだろうと、コバルト色のリアレ湾深く舟を進めて描(いかり)を入れ、望遠鏡で白いロバを探す。かつては村の共同基地だったと思われる、傾斜地に幾十本の十字架が突き出た一帯に、十数頭の白子ロバが見えた。同時に、サイレンの音とともに武装した警備艇がやって来て、半ば強制連行の様子だ。すでに機関銃を腰だめに構えた警備隊の緊張した表情から推察するに、やはりアシナラ島は白子のロバの島ではなく、特別監獄島としての役割が大きいようである。
 逆に、一般人を拒否することによって白子のロバは安穏と生き延びることができたのだろう。白子のロバにとって、現在の状態の方がはるかに幸せに違いない。
 ステインティーノ村で、老婆が印刷の悪い白いロバの絵葉書を売っていた。

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    サルデイニアの旗 
 
 それにしても奇妙な旗である。これは鉢巻ではない。目隠しされた奴練を表している。
アラブ支配下に大量に連れ去られ、奴隷として売られたサルド人の悲勅を語るものであ
る。コルシカの放は目隠し奴練が一人だけのデザインである。

     2013-10-21

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                       2013-10-21
posted by 速魚 at 11:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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