2013年10月27日

地中海孤島めぐり10

  10.  フォルメンテーラ島


                      大きい島が イビザ島
                    200px-Ibiza.jpg
                     下の三角の島がフォルメンテーラ島


 フォルメンテーラは‥清楚(せいそ) な島だ。山もなく、緩やかな坂があり、そこを登りつめると、崖(がけ) がそのまま海へとズリ落ちて終る。餅(もち) を引き伸ばしたように中央が細くて長い。騒音に満ちたイピサの港から四〇分程でサピーナの港に着く。この島には飛行場がなく、旅客の足はすべてこの赤く塗りたくったフェリーによるか、自分の小舟によるしかない。サピーナの港では、ホテル差回しの小型バスやトラックがフェリーボートから吐き出され、バカンスの客を待ち受けている。その間の三〇分間だけ、小さな港はにぎわいを取り戻す。
 フォルメンテーラは自転車で回るにはもってこいの大きさだ。きつい登りもなく、港から一番速くに位置する灯台まで一五キロ足らずだし、小さな村を通って潮風が汗をぬぐうに任せながらペダルを踏むのは心地よいものだ。
 島には塩田がある。イチジクが採れる。羊が飼われているがほかには何もない。強烈な太陽の熟を利用した塩田も、あまりにも手間がかかるので企業として成り立たなくなってしまった。ここで育てられた羊は、毛は荒いがかえって春や秋口に着るにはちょうどよい。老婆が、大きなへラに釘を何十本も打ち付けたものに羊毛を載せ、もう一枚のへラでしごく。そして、指というより手の平全休で糸をよる。ケバの多い太い毛糸に仕上る。それを染めるには化学染料を使わないため、どうしても中間色の柔かい色調になる。出来上ったセーターは目の荒いザックリとしたもので、配色がどこかフォルメンテーラの自然とマッチしていて実に美しい。手編みのセーターはサン・フランシスコの村が中心である。島を訪れた人々はこの素朴なセーターにファッション性を見出し、買い求め始めた。しかし、もとはと言えば老婆が孫のために、夏は木陰で、冬は陽当りのよいテラスで縮んだものである。観光客全部へ行き渡る程の生産性はない。今はニュージーランドの羊毛を中国や台湾で織らせたものが大半である。
 広々とした砂浜はイジエクスにある。長い砂州が北へ伸び、エスパルマドールへあと一歩というところで切れている。イジエクスは二つの海を持つので、東風が吹いて東岸が荒れても西側は鏡のような水面を保っているし、逆の場合もある。砂丘を越えるだけで常に静かな海が約束されている珍しい場所である。夏になるとヨットがどっとばかりにこの長い砂浜の中へ描 (いかり)を下す。最大級の妻華帆船「ジェシカ」や「アメリカ」、アラブの石油成金のヘリポート付のヨットが並ぷ。ハリウッドのプロデューサーや監督が美女に囲まれてデッキに寝そべれば、若者はウィンドサーフィンに興じる。夜には舟と砂
浜でパーティーが始る。イピサのディスコ主催のビ−チパーティーや美人コンテストなどが開かれる。
 島に古くから住む外国人は、イジュタスの喧嘩 (けんそう)を苦々しく思っている。今はもう頭が白く、あるいは薄くなって来たヒッピーやビ−トニックジエネレーションの芸術家たちである。イギリスの高名な彫刻家、7メリカのビ−トジェネレーションの申し子、フランスの売れない画家、インド哲学に凝ったジャスドラマーが、サン・フェランのベベのバーへ集って来る。彼らは観光客やイジエクス人種をプラスチック人種と呼び、軽蔑する。自分たちが見付けた避難所を荒らされた怒りを持っているのだ。そして、この島も終りだ、別天地を見付けて引っ越さなくてはと嘆く。
 突端にあるフォルメンテーラの灯台は、四〇マイルも届く強い光を放っている。灯台守はバコといい、生枠の島民ではない。ヨーロッパ、アジアを放浪してこの島にたどり着き、暮し始めた。何年かして灯台守の資格を取り、岬の灯台に住むようになった。ニワトリを飼い、畑を耕し、火をともす。五人の子の父となった今ではここを動くつもりはない。フォルメンテーラ島民もバコを受け入れたのだろうか、電気の配線、器具の修理、ポンプやパイプの補修に至るまで彼のところへ持ち込み、頼むようになった。バコも、時間の許す限り小さなバイクを取ってどこにでも出掛け、頼まれた仕事をこなす。観光に縁のない貧しい島民は、卵や干しイチジク、アーモンド等でバコの労をねぎらう。この島にたどり着いたのは一つの天啓であったと語る。そのすぐ横で遊ぷ子供たちは、なまれりの強いイピサ語を兄弟同士で話している。バコにはよく分らない。こいつら、フォルメンテーラ人だな一と優しい目で我が子を見る。
 島を出る若者が相次ぐ中で、島に生きる彼のよ、ユな存在が島を一層美しいものにしているのだろう。

   2013-10-25


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posted by 速魚 at 19:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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