2013年10月29日

地中海孤島めぐり11  

  11. ドラゴネーラ


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何という名前を付けたものだろう。竜でも住んでいるなら完ぺきだが、この為には灯台守と変種のとかげが住むだけだ。
 ドラゴ、ネーラはマジョルカの南西に位置し、バルセロナからフェリーでマジョルカ島へ渡るときに灰白色の岩肌を見せる細島い島だ.マジョルカ本島とは浅い瀬で切り離されてはいるか、本島のサンテルモから見ると眼前に黒々と横たわり、孤島というよりも、むしろ半島である。
 国王や大続領が毎年バカンスを過すアンドレッチから、ヨットで二、三時間程の距離でドラゴネーラに投錨(とうびょう)できるが、この島には適当な湾や入江はなく、灯台守専用の舟着き場があるだけだ。錨(いかり)を舟の後ろから入れ、へさきから肪(もや) い、ロープをコンクリートのちっぽけな桟橋に取ってどうにか小舟を固定させるが、とても安全なやり方とは言えない。横風やうねりを受ければ、いとも簡単に岩に乗り上げるに違いない.しかし、そうして島に渡るしか方法がないのだ。島には二つの灯台がある。島の南端と中程の最高位点にあって、互いの盲点を補うように、四〇マイルという強力な光速距離を持つ光を放っている.
 天然の良好プエルト・アンドレッチからカポ・デ・サ・モラを回り、カラ・アントニオを渡ってサン・テルモ湾に至るまでは、ビレ・ネ一降ろしのミストラルにつかまりさえしなければ、実に美しいリラックスした航海だ。サン・テルモ湾も、近年開けて来たとは言え、真夏でも砂浜が人でごった返すということはい。
 地元の漁師の小舟が幾隻も湾の北側に紡い、緩やかなリズムで揺れている。ドラゴネーラが防波堤の役目をしているのだ.
 サン・テルモの漁師はドラゴネーラの恩草をはかにも受りている。ドラゴ・ネーラとマジョルカ本島の南西岸は、ちようどジョウロ型の海域を作り、そのジョウロの出口に当る部分が極端に浅くなっているが、そこが絶好の漁場となっている。とりわけ南西の風か吹くとジョウロに水が集り、走るように流れる。時折、ベタルポートや泳いでいる人が流される。
 ドラゴ、ネーラからの眺めは素晴らしい 。マジョルカの切り立った北西岸と、複雑なな海岸線を持つ南西岸の両方を見ることができる。こんな絶景を持つ島に目を付けたのが、例によって観光開発会社である。この島を、前の持ち主フアンフレッチャスからバメッサなる会社が、一九七四年に三億ペセタで買い取った。二年後、アンドレッチ町議会は、ポメッサのバカンスビレッジ建設計画に許可を与えた。そして、本島との間に橋を掛ける計画まで持ち上った。
 しかし、ドラゴネーラ古来のとかげがこの島の俗化を救うことになった。昔むかしの大昔、第四紀にはマジョルカやメノルカにも生息していたとされている変種のとかげ、カタランではサルジュンタネスとして知られている爬虫類(はちゅうるい) がドラゴネーラだけに生き残っていたのだ。
 生態学者や自然主義者たちが、島の生態系を壊すものとして、ドラゴネーラの観光開発に反対運動を始めた.しかし、地元の利権者と政治の結付きのせいか、マジョルカ島講会でも開発案は認められた。一九七八年のことである。
反対派はあきらめず、法廷闘争を続けた。ている。最高裁は今年の二月にやっと、バレ7レスの自然主義者たちにとっては歴史的な判決を下した.ドラゴ・ネーラの宅地化は一切切禁止となったのだ.そして、一三年にも及ぷドラゴ、ネーラ争議に終止符を打つ要因になったとかげは、岩から岩へと滑るように走りまわっている。
 ドラゴネーラへは遊覧船も出ている。アンドレッチから海岸の絶景そ眺め、ドラゴ・ネーラを回って岩に上陸もできる。全長五キロメートル、幅800メートルもある.長いさつま芋のような形の島である。灯台のある頂まで、かなりの急斜面を三〇分程登る。騒動の主は、素人目にはイビサやエスパルマドールのものと区別を付けにくい。ドラゴネーラの名も、ドラゴンに少しばかり似ていなくもない変種のとかげから来ているが、中国流の竜と結び付けるにはかなりの想像力を要する。
 ドラゴネーラに上陸し、島を見て回り、いざ舟を出そうとしたが、なんとしても錨が昇らない。竜が錨を飲み込んだかのように岩のすき間にガッチリと食い込んでしまったのだ。勇を鼓して海に潜り、錨の頚にローブを結び付ける。そして、ロープを強力なウインチで巻き上げ、やっと錨を回収し、サンテルモの入江で静かな一夜を過したことだ。
 興味本位に島に近付こうとしたり上陸しようとすると、時々しっぺ返しを食うものである。以後ドラゴ、ネーラは外から眺めるだけにしている。

   2013-10-26

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posted by 速魚 at 13:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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