2014年03月02日

海上自衛隊と航海科の充実 その2


 もう大昔ですが35年以上も前です。甲種2等航海士の海技試験を受けました。その時に学科試験の合格後には口述試験がありました。あやふやな知識はこの時にバレます。それはさておいて、その時同席して試験官の質問に一緒に答えたのが海上自衛隊の昔大尉で今は一尉の隊員の方でした。恐らく航海科の士官の方だったのでしょう。
 陸上では二〇〇人くらいの隊員を指揮する中隊長、海上では自衛艦の航海長にあたる地位の方でしょう。防衛大学卒業後七-八年実務を経験して昇進した階級と思われます。
 両人とも無事合格しました。しかし船の仕事というのは伝統と歴史があるので、各人の職掌は見事に分担するように別れたものになっています。小生は八年以上の部員の経験でも船橋・ブリッジでの当直の仕事はわずかな経験になります。保守作業・ペンキ塗り・サビ落としが中心のようなものでした。ついでにトイレ掃除4年。学校で船の学科は学んだことはありません。海技試験のために勉強をしたのみでした。晴れて三等航海士で乗船しましたが、その時には大事な仕事であるレーダーをどう扱ったらいいのか戸惑うばかりでした。実習経験の無いペーパー航海士でしたね。また今と違い天測で大洋航海していた時代でしたから、天測も試験にでる計算ができるばかりで実際の船位をだすには実務が違いました。それでもやっと一年くらいして慣れました。サードオフイサー・三等航海士として使えるようになるには三年はかかるでしょう。商船教育を受けて一年の実習で航海士になった方はもっと容易でしたでしょうね。

 海上自衛隊の彼は士官としてそれまでに当直業務をこなしてきたのかもしれません。航海長に就任するための受験であった可能性は高いです。そしてその後四-五年で昇進して三佐になると小型自衛艦の艦長、二佐で中型自衛艦の艦長、一佐で大型自衛艦の艦長です、早ければ一〇年ほどでしょう。昔なら戦艦大和の艦長です。

 商船では二〇歳で航海士で乗船すれば昇進の早い人で三〇代後半で船長、通常は四〇代で船長です。二〇年以上の経験が必要です。

 自衛艦の事故が多いのはあくまで個人的な見解ですが、当直航海士官や艦長の経験不足があるためでしょう。見張りが大事ですけれど、人数が多くてもおざなりな状況報告を当直士官が受けていても役たちません。事故は最終的には船長の責任になります。

 商船では航海士の当直時間に対処できなくて船長を呼びにいくことは可能ですが、船乗りの経験上それは極めてまれなことになります。幸いにも船長を呼びに行く事態はありませんでした。小生のようにペーパー航海士でしたが、責任を持った経験を重ねていくことで成長していきます。

 海上自衛隊は恐らく航海科の地位が低いのだと思われます。航海は親善航海でもない限り戦闘海域に行く手段で戦闘行動に比べれば低い地位にあるものと思われます。入出港でもない限り、通常航海では航海長の指揮の元に航海していると思います。航海士の免状をとったばかりの航海長では経験不足でしょうね。
 本船で一等航海士になるには年齢的に三〇代後半で一五年くらいの経験を必要とします。自衛艦ではそれを満たしていないということでしょう。彼は年齢と階級から防大でのキャリア組と思われます。でも一貫して任官してから航海科に所属していたわけではないと思います。キャリア組はまんべんなく職務を渡って昇進していく官僚システムですから。

 解決策の一つは防衛大学の士官にこだわらずに、航海科に所属した下士官に二五歳くらいで海技免状3級を取得させる。航海長に上がる前までに2級を持たせて、当直責任士官として専属で従事させ、三五歳以上・10年の経歴・で航海長に登用する。
 これは下士官を昇進させて登用するシステムになりますから、今までの海上自衛隊の士官の登用スタイルとは違ったものになります。
 これだけ航海実務の経験を要した航海長が求められると、現在の航海長は30歳くらいの一尉相当の職務のようですので、階級を上げて副長で航海長兼任にしないと防大での将校とのバランスがとれないでしょう。

 またやったかと嘆くより事故が続き、民心が離れては意味がありません。総合的な昇進制度の見直しが要るように思います。
 まさか今ではしていないと思いますが、旧海軍で行われていた任用の伝統を引き継いでいて水雷屋を空母艦隊の司令官に任用するようなことを。 航海科も同様の過ちは避けてください。航海科は他科と違いこれは訓練ではなくて、常時実戦であることを認識しましょう。

 水先法の改正で二七歳の水先人が死傷事故を起こしました。これも明らかな試験制度の欠陥で自衛隊と同じ根の問題でしょう。

 自衛隊の門外漢ですが、ご参考までに書きました。
今頃は、あの受験で同席した方はキット海将で艦隊司令官なられて、こちらはまともに口も聞いていただけないような方になられたことと思います。

       2014-3-2


  海上自衛隊と航海科の充実  その1へ
  http://hayame2.sakura.ne.jp/details1037.html
       その3へ
  http://hayame2.sakura.ne.jp/details1037.html#しまゆき 異常接近
  船員の常務
  http://hayame2.sakura.ne.jp/details1037.html#船員の常務





      

posted by 速魚 at 06:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/88652725
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック